永住ビザは、日本で認められている在留資格の中でも、外国人が日本で暮らしやすくなる多くメリットがあります。永住ビザを取得するためには、永住許可の要件や必要な書類を用意して手続きを行います。
本記事では、法務省のガイドラインを基に、日本の永住権を取得するための永住許可申請について解説していきます。
- 永住許可とは?
- 永住許可のガイドラインについて
- 永住者の要件が緩和されるケース
- 永住許可申請の方法
- 永住許可申請は誰が行う?
- 永住許可申請の注意点
- まとめ
目次
永住許可とは?
日本に在留する外国人の方が、法務大臣の許可によって国籍を変えずに在留資格「永住者」を取得することです。
在留資格「永住者」が、他の在留資格と大きく異なり緩和されているポイントは、在留活動や在留期間のいずれも制限されないことです。「永住者」は、日本で生活するための制限が少ない分、取得要件や審査は厳しく管理されています。
永住許可のガイドラインについて
出入国在留管理庁の「永住許可のガイドライン」より、在留資格「永住者」取得の要件について解説します。
永住ビザの要件は、居住要件として引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。また、日本社会のルールに従って法令違反を犯さず公的義務を履行していることや、日本での生活が、継続して安定して暮らしていくことができる一定の収入があることが必要です。
永住者の要件が緩和されるケース
特例として、以下の要件に該当する場合は、永住許可の居住要件が緩和されます。
緩和されること:「原則として引き続き10年以上日本に在留していること」
我が国への貢献があるについてのガイドライン
永住ビザの要件が緩和される『我が国への貢献がある』について、具体的にどんな人が該当するのか解説していきます。以下は、各分野共通の内容になります。
さらに詳しい内容については以下のURLより参考にすることができます。
我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン
- 国際社会において権威あるものとして評価されている賞の受賞者
例:ノーベル賞、フィールズ賞、プリッカー賞、レジオンドヌール勲章 - 日本政府からの賞を受けた者
例:国民栄誉賞 勲章 文化勲章、褒章 紺綬褒章、日本国際賞 - 日本政府、地方自治体から委員等として任命や委託された公共の利益を目的とする活動を3年以上行った者
- 医療、教育その他職業活動を通じて、日本社会や地域活動に多大な貢献のあった者
高度人材外国人は最短1年で永住が許可される
高度外国人材の中でも特に高度と認められる外国人は、永住許可申請の要件を5年から大幅に短縮して1年に緩和されます。高度人材と認められる判断は、出入国在留管理庁のポイント制で80点以上となっています。
他の在留資格では永住許可申請するためには日本に10年以上居住していることが条件となりますが、高度人材に該当する外国人は、最短で永住ビザを取得することができます。
高度人材外国人:
専門的な技術力や知識を有する外国籍の人材を示します。在留資格の「高度専門職1号」と「高度専門職2号」に分類され、出入国在留管理庁のポイント制による計算で高度人材であるかどうか認められる資格です。
永住許可申請の方法
では、具体的に永住許可申請の方法について解説していきます。
永住許可申請の審査期間はおよそ4ヵ月くらいかかります。必要書類については、現在取得している在留資格によって異なります。
必要書類については以下の出入国在留管理庁のHPより確認できます。
出入国在留管理庁:永住許可申請
永住許可申請の手続きの流れは以下の通りです。
永住許可申請について行政書士に相談するまたは自分で始める
永住許可申請に必要な書類を準備する
永住許可申請書を作成する
出入国在留管理庁で申請手続きをする
審査期間
永住許可申請の結果が通知される
在留カードの変更届(永住者に変更)を行う
永住許可申請は誰が行う?
永住許可申請の申請人は、以下の対象者が行うことができます。
また、永住許可となって在留カードの手続きを行う際も、以下の対象者が行うことができます。
- 申請人本人:
永住ビザを取得したい外国人の方
- 法定代理人:
申請者が未成年の場合の親権者が該当します
- 取次者:
・永住許可申請の取次申請許可証のある行政書士または弁護士
・申請人の親族または同居者
(申請人本人が16歳未満の場合、疾病やその他の理由で出頭きない場合)
永住許可申請の注意点
永住許可申請で気を付けたいポイントについて確認しておきましょう。
- 日本の居住年数が緩和されるケースに該当するか確認する
- 身元保証人を決めておく
- 永住許可申請を行うタイミングを考える
- 永住許可が取り消しとなることもある
- 不許可になるケースを確認しておく
日本の居住年数が緩和されるケースに該当するか確認する
申請人は自分の居住年数が10年を満たさなくても、緩和されるケースに該当するか確認しましょう。現在の在留資格の種類、日本の居住年数について要チェックです。
身元保証人を決めておく
永住許可申請では、身元保証人を決めておく必要があります。ただし、永住許可申請の場合は、一般的な連帯保証人のような法的義務は問われません。したがって、身元保証人を依頼する際は、法律上の強制的な責任を負うことはない旨を理解してもらって、承諾を得るようにしましょう。
永住許可申請を行うタイミングを考える
永住許可申請のタイミングは、現在取得している在留資格の期限が切れる前に行いましょう。永住許可申請の審査期間は4ヵ月となっています。申請の準備等を含めて余裕を持って手続きをすすめていきましょう。
もし、永住申請の期間中に、現在の在留資格の有効期限が近くなった場合は、更新手続きすれば問題はありません。
永住許可が取り消しとなることもある
永住申請が許可された後でも、以下の場合は在留資格は取り消しとなる可能性がありますので注意しましょう。
- 再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに日本から出国した場合
- 再入国期限までに日本へ再入国しなかった場合
- みなし再入国許可によって日本を出国して1年以内に日本へ再入国しなかった場合
- 不正で永住許可を
- 引っ越ししてから90日以内に転居の届出を行わなかった場合
- うその住所届を出した場合
- 無期または1年を超える懲役・禁錮に処せられた場合
- 不法就労助長行為等を行った場合
- 薬物違反により有罪判決を受けた場合
- 売春業務に関わった場合
永住許可が取り消しとなることもある
永住許可申請で不許可となった場合は、再申請も可能ですが、不許可の理由がわからないまま再申請しても良い結果には繋がりません。
できれば、不許可になる前に、もう少し要件や提出書類について確認したりして、最適な状態で申請手続きを行う方が良いでしょう。そのためには、永住許可申請を始める前に、行政書士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
永住許可申請は、他の在留資格の申請手続きよりも複雑で難しくなっていますが、許可された場合は、日本で生活しやすくなるメリットは大きいと言えます。
永住許可要件には、居住年数や、現在取得している在留資格の種類、申請人の状況によって緩和されるケースもありますので、よく情報を整理して、正しい申請手続きを行っていきましょう。