三輪美幸
行政書士法人GOALのVISAチームリーダー。これまでの豊富なビザ申請経験をもとに、日本で暮らしたい外国人の皆様向けに、日々のお困りごとを解決できるよう寄り添った記事を執筆するよう心がけています!
[身分系ビザ]
目次
在日韓国人が日本国籍を取得するためには、法務省が定める一定の条件を満たす必要があります。主な条件には、日本で継続して一定期間居住していること、成人していること、善良な素行が認められること、安定した収入や生活基盤があることが含まれます。これらの要件は、帰化申請の際に提出する書類によって証明されます。特に、在日韓国人に特有の手続きとして韓国戸籍の収集とその翻訳が必要なため、早めの準備が重要です。申請は法務局で受け付けられ、公的な審査を経て許可されます。複数の条件を満たすことが求められるため、十分な理解と計画的な準備が求められます。
本記事では、在日韓国人の帰化条件や申請についてわかりやすく解説していきます。
在日韓国人の帰化申請では、帰化条件をクリアできたら必要書類の準備が必要です。その中の1つが「韓国戸籍」です。「韓国戸籍」は、帰化申請に必要な書類の中でも、特に取り寄せや翻訳作業に時間がかかるため、早めに準備すると良いでしょう。
帰化とは、外国人が日本の国籍を取得することを指します。帰化申請手続きは、そのための手続きのことを指し、法務局に直接申請する必要があります。申請者は、「帰化許可申請書」に加えて、ご自身の経歴に関する書類や収入、納税状況、年金・健康保険の納付状況などに関するさまざまな書類を準備する必要があります。帰化申請の流れは以下の通りです。

在日韓国人の方で帰化を希望するのは、主に以下のケースがあげられます。外国人が帰化申請をする際は、国籍法による7つの条件を満たしていることが必要です。
それでは1つずつ確認していきましょう。

日本国籍を取得する際には、原則として他国の国籍を放棄しなければなりません。これは日本が二重国籍を認めていないためです。特に韓国の場合、一定の条件下で兵役義務の完了が国籍離脱の前提となっており、これが帰化手続きにも影響を与えています。
韓国籍の除籍手続きが進まない場合、日本の帰化申請自体は可能ですが、実質的に二重国籍の状態が続くことがあります。したがって、帰化申請前に母国の国籍要件を詳細に確認し、適切な対策を講じることが重要です。これにより、帰化後の手続きやトラブルを避けられます。
帰化申請をする直近3年の間、日本に住んでいることが必要です。そのため、日本で生まれ育った在日韓国人の方は問題ない場合が多いです。ただし、直近3年の間に長期で海外生活を送っていた場合には注意が必要です。
日本の成人年齢は、2022年4月1日から18歳に引き下がりましたが、韓国の成人年齢は19歳ですので、帰化申請時に19歳以上であれば問題ありません。ただし、生計を共にする親と一緒に帰化申請する場合は、成人に達していなくでも申請できます。
素行が善良であるとは、法律に反していないかどうかがポイントになります。税金や年金、健康保険をきちんと支払っているかどうか、また、犯罪歴がないかどうかも関係してきます。交通違反も審査に影響しますので注意しましょう。具体的には以下のポイントを確認しておきましょう。帰化申請の前に、税金の滞納があった場合は納付を済ませておきましょう。配偶者がいる場合は、配偶者の税金についても確認が必要です。
市民税については、会社員の場合は会社で天引きされることが多くなりますが、個人事業主の場合は自分で区民税・住民税を納める必要があるため、未納である場合は、必ず完納しておくことが必要です。配偶者も未納であれば同様に対応しておきましょう。
国民年金・厚生年金の未納金はしっかり払って領収書を提出できる準備が必要です。もし、未納が続いている場合には、帰化申請前に全て完納払しておきましょう。
交通違反は、過去5年間の違反歴から判断されます。審査に影響する場合もあります。ただし、在日韓国人(特別永住者)の場合は、一般の外国人と比べると、審査基準が緩やかになっている傾向もありますが、軽微な違反でも何度も繰り返している場合は問題になる可能性が高まりますので注意してください。
犯罪歴に関しては、内容次第では不許可となる可能性は高くなりますので注意が必要です。犯罪歴に関しては、一度帰化申請前に、行政書士の方に相談してみると良いでしょう。
経済的に日本で無理なく暮らして行けるかどうか?収支のバランスについて判断されます。年収がいくら以上あれば許可される、といった具体的な金額は定められておらず、申請する人の生活状況によって必要な年収は変わってきます。
生計条件の判断材料は、以下の項目でチェックされます。

なお、専業主婦や学生で収入がない人の場合は、世帯主の収入から判断されます。
また、無職で収入がない人の場合でも以下の条件を満たせば、申請が可能になる場合があります。

日本では重国籍(2つ以上の国籍を持つこと)を禁止しているため、韓国籍から日本国籍になった後に、韓国領事館にて国籍喪失手続きを行い、韓国国籍を喪失させる必要があります。
日本を暴力で破壊する思想を持っていないこと、そうした団体に参加してないことが申請の条件となります。(日本で普通に生活を送っている人であれば問題になることはありません)
帰化申請における日本語能力要件は、日常生活に支障がない程度の理解と会話ができることが求められます。具体的には、書面や口頭でのやり取りが問題なく行えることが基準となります。高い日本語能力が必須というわけではありませんが、生活や仕事に必要な日常のコミュニケーションが困難であってはなりません。
また、日本語能力は申請時だけでなく、その後の社会生活においても重要視されます。面接時に日本語での質問に対応できるかどうかも審査の一環です。日本語力が著しく不足している場合は、申請が難しくなる可能性があるため、日頃から日本語の習得に努めることが望まれます。
在日韓国人の世代交代が進み、日本人と結婚する方や帰化する方が増えています。
日本で生まれて日本人のように暮らしている方にとっては、帰化することをメリットと考えるケースもあるでしょう。
そこで、本記事では、在日韓国人・在日朝鮮人(特別永住者)の帰化申請の条件と、申請書類で重要な「韓国戸籍」について解説していきます。

※東京法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00890.html
韓国戸籍は、日本語翻訳が必須となります。年配の申請者であれば、戸籍の数も数十メージ以上となることが多く、戸籍書類すべてを翻訳するようになります。翻訳を知人や業者に依頼する場合は、翻訳量に対して、費用負担や時間を考慮する必要があります。
韓国戸籍と他の書類の内容が一致しない場合、戸籍の内容が正しいかどうかを事前に確認することが必要です。
在日韓国人の中でも、戸籍の整理をしなかったために、実態と戸籍の不一致が生じているケースや、領事館から戸籍がないと言われるケースがあります。帰化申請前に、戸籍の整理をしておくことが必要です。
在日朝鮮人で韓国戸籍がない方は、書類取得が困難である旨を申請内容に記載すれば、免除されることが大半です。
日本で生まれた韓国人(特別永住者)は、帰化申請をした場合、比較的許可される可能性が高くなっています。ただし、税金の未納がある場合や犯罪歴・違法行為のある方は、審査が難しくなり不許可の可能性も高くなります。
在日韓国人の方は帰化がしやすいといっても、帰化の申請方法は、他の国籍の方と同様に行いますので、特に在日韓国人の方が引っ掛かることが多い「素行条件」「生計条件」を確認しながら適切な手続きを踏んでいきましょう。
A. 帰化した人が今後行うべき手続きについて説明します。
まず、法務局から帰化許可の通知を受け取った後は、14日以内に居住する市区町村の役所で住民登録を行う必要があります。これにより、日本人としての戸籍が作成されます。戸籍が整えば、必要に応じて戸籍謄本を取得することができます。
A. 基本的には申請者自身が必要書類を準備する責任があります。しかし、韓国に住んでいる親族や代理人が代理で戸籍謄本を取得することは可能です。申請者が日本に住んでいる場合でも、韓国国内の家族や知人に代理で取得を依頼することができます。その際、代理人には通常、申請者からの委任状や代理取得に関する書類が必要です。