三輪美幸
行政書士法人GOALのVISAチームリーダー。これまでの豊富なビザ申請経験をもとに、日本で暮らしたい外国人の皆様向けに、日々のお困りごとを解決できるよう寄り添った記事を執筆するよう心がけています!
[身分系ビザ]
配偶者ビザは、日本人と結婚した外国人やその子供が日本で生活するために必要な在留資格です。
正式には「日本人の配偶者等」と呼ばれ、就労活動に制限がないという特徴があります。
しかし、その申請手続きは必要書類が多く、審査も厳格なため、時間と労力がかかります。
特に、婚姻の信憑性を客観的な資料で証明する必要があり、準備に手間取るケースも少なくありません。このような複雑な手続きを円滑に進めるため、専門家である行政書士への依頼が有効な選択肢となります。
本記事では、配偶者ビザの更新申請について解説していきます。
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配偶者ビザは、正式名称を「日本人の配偶者等」といい、日本人と婚姻関係にある外国人、または日本人の実子や特別養子が日本に滞在するための在留資格です。このビザを取得すると、活動内容に法的な制限がなく、原則としてどのような職業にも就ける点が大きな特徴です。他の就労ビザでは求められる学歴や職歴の要件がないため、個々のライフスタイルに合わせた自由な働き方が可能となります。例えば、専門的なスキルを必要とする仕事から、アルバイトまで幅広い選択肢があります。
ただし、配偶者ビザの取得や更新の際には、いくつかの厳格な審査基準が設けられています。最も重要なのは、婚姻関係が実体を伴って継続していること、すなわち偽装結婚ではないことが客観的に証明できるかという点です。さらに、日本での生活を安定して営むための経済的な基盤があるかどうかも厳しく審査されます。具体的には、夫婦の収入状況や預貯金、住居の確保状況などが確認されます。これらの要件をクリアするためには、申請書類の準備を十分に行い、正確な情報を提出することが不可欠です。例えば、世帯全体の収入を証明する課税証明書や納税証明書、住民票、そして夫婦の共同生活を証明する写真やメッセージのやり取りなども必要となる場合があります。このように、配偶者ビザは自由度が高い反面、婚姻の実体性や経済的安定性を厳しく問われるため、事前の準備が成功の鍵を握ります。
配偶者ビザの取得には、いくつかの重要な要件を満たす必要があります。まず、法律上の婚姻関係が有効に成立していることが大前提となります。内縁関係や婚約中では申請できません。次に、夫婦としての実質的な生活が営まれている必要があります。具体的には、夫婦が同居し、互いに協力し扶助し合って社会通念上の夫婦共同生活を営んでいる実態が求められます。これは、偽装結婚ではないことを証明するために不可欠な要素です。
また、日本で安定した生活を送れるだけの経済的基盤があることも重要な審査項目です。夫婦の収入や資産状況を証明する資料の提出が求められ、日本での生活を安定して維持できることを示さなければなりません。例えば、預貯金通帳のコピーや課税証明書、納税証明書などが該当します。さらに、申請者本人と配偶者の素行が善良であること、つまり法律を遵守していることも要件に含まれます。過去に犯罪歴や入管法違反がないかなども審査の対象となります。これらの要件をすべて満たし、客観的な資料で証明することが、配偶者ビザ取得の鍵となります。
配偶者ビザの更新申請は、現在の在留期間が満了する3か月前から行うことができます。この手続きは、申請者の住所地を管轄する出入国在留管理局(入管)で行います。3か月前から申請できるため、該当する方は事前に相談することがおすすめです。申請の流れとしては、まず必要書類を収集・作成し、次にそれらの書類を入管に提出します。書類提出後、入管による厳格な審査が行われ、許可が下りれば新しい在留カードを受け取って手続きが完了します。審査期間は標準的に2週間から1か月程度ですが、状況によっては7日程度で通知されることもあれば、2か月以上かかることもあります。
配偶者ビザの在留期間は「6か月」「1年」「3年」「5年」のいずれかが定められています。通常、初回は1年間のビザが付与されるケースが多く見られます。その後、婚姻生活の継続と適切な更新手続きを経て、3年、5年と長期のビザ取得を目指すことになります。特に3年の在留期間は、永住権を申請する上での重要な条件の一つとなるため、取得を目指したいところです。
更新申請の審査では、婚姻生活の安定性や継続性、経済的基盤の安定性、申請者と配偶者の素行の良否、公的義務の履行状況などが厳しくチェックされます。具体的には、夫婦が同居し、互いに協力し扶助し合って生活しているか、収入状況が安定しており日本で生計を維持できるか、税金や年金、健康保険などの公的義務を滞りなく履行しているか、といった点が確認されます。これらの要素は、偽装結婚を防ぎ、真に安定した婚姻生活を送っているかを見極めるために重要です。
必要書類としては、
・在留期間更新許可申請書
・写真
・日本人配偶者の戸籍謄本
・住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書
・身元保証書
・世帯全員の住民票
・申請人のパスポートと在留カード
などがあります。もし、前回の申請時から離婚や再婚、転職、失業、収入減少など生活状況に大きな変化があった場合は、通常の書類に加え、詳細な事情を説明する理由書や補足資料の提出が求められ、審査がより厳しくなる傾向にあります。理由書は必須書類ではありませんが、状況の変化を詳しく、かつ具体的に説明することで、スムーズな審査につながる場合があります。不許可のリスクを避けるためにも、変更があった際は積極的に追加資料を提出し、状況を明確にすることが重要です。
配偶者ビザの申請場所は、その状況によって異なります。
まず、外国人配偶者が日本に住んでいる場合は、その外国人の住所地を管轄する地方出入国在留管理局、またはその出張所で申請書類を提出することになります。一方、海外から配偶者を日本へ招くための「在留資格認定証明書交付申請」を行う際は、日本人配偶者の住所地を管轄する出入国在留管理局が申請先となります。日本全国には札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡といった主要な出入国在留管理局があり、それぞれに出張所も設置されていますので、ご自身の最寄りの窓口を確認してください。申請を行う際には、特に月曜日や金曜日、祝日の翌日は窓口が混雑しやすい傾向にあるため、これらの曜日を避けることが賢明です。スムーズな申請のためには、出入国在留管理局の公式ウェブサイトで最新の情報を確認し、必要に応じてオンライン予約サービスを利用することをお勧めします。書類提出後、出入国在留管理局で厳正な審査が行われ、結果は郵送で通知されます。もし許可が下りた場合は、新しい在留カードを受け取るために再度出入国在留管理局へ出向く必要があります。
配偶者ビザの申請期間は、現在の在留資格の種類や、日本で申請するのか海外から申請するのかによって変動します。日本に滞在中の外国人が日本人と結婚し、配偶者ビザへの変更を希望する場合、現在の在留期間が満了する3ヶ月前から申請が可能になります。これは、配偶者ビザの更新申請と同じ期間設定です。ただし、入院や長期出張など、やむを得ない事情がある場合は、3ヶ月以上前から申請が認められるケースもありますので、管轄の出入国在留管理局に事前に相談することをお勧めします。
申請から許可までの審査期間は、書類提出から通常2週間から1ヶ月程度が目安とされていますが、申請内容や時期によっては7日程度で結果が通知される場合や、2ヶ月以上かかることもあり、期間は一概には言えません。 特に、提出書類に不備があったり、追加資料の提出を求められたりすると、審査期間が長引く傾向にあります。追加書類の提出を求められるケースとしては、提出した資料だけでは夫婦の関係が十分に証明できない場合や、結婚生活の実態が確認できない場合、夫婦の収入や生活基盤が不明確な場合などが挙げられます。
したがって、在留期間に余裕を持って、早めに申請準備を進めることが重要です。申請に際しては、必要書類を漏れなく準備し、偽装結婚と疑われることのないよう、夫婦関係の実態を明確に証明する資料を事前にそろえる必要があります。具体的には、交際期間が短い、年齢差が大きい、出会いがSNSや国際結婚相談所などの場合、偽装結婚を疑われやすいため、交際経緯や結婚に至った理由を詳細に説明し、写真やメッセージ履歴、通話記録、渡航記録などを提出して、関係の信憑性を裏付けることが大切です。
配偶者ビザの申請は、法的な婚姻関係だけでなく、実際の夫婦生活や安定した生計能力を客観的な書類で証明する必要があるため複雑になりがちです。このような複雑な申請をスムーズに進めるためには、行政書士に依頼するのが有効な手段です。行政書士に依頼することで、個々の状況に合わせた適切な書類の準備が可能となり、結果として申請の許可率を高めることが期待できます。特に、ビザ申請を専門とする行政書士は、入国管理局の審査基準や着眼点を熟知しているため、有効なアドバイスがもらえます。
また、申請取次行政書士であれば、煩雑な入国管理局への出頭を代行してくれるため、申請者の時間的負担を大幅に軽減できるでしょう。これにより、仕事や家事と並行しながらでも安心して申請を進めることができます。行政書士への依頼費用は、事務所や案件の難易度によって異なりますが、在留資格認定証明書交付申請で10万円から20万円、在留資格変更許可申請で8万円から15万円程度が目安とされています。在留期間更新許可申請は4万4千円程度から依頼できるケースもあります。依頼する際は、入管業務の実績、料金体系の明確さ、そして担当者とのコミュニケーションの取りやすさを重視し、信頼できる専門家を選ぶことが重要です。実績が豊富な行政書士は、不許可となるリスクを回避し、迅速な許可取得に貢献してくれます。
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