
三輪美幸
行政書士法人GOALのVISAチームリーダー。これまでの豊富なビザ申請経験をもとに、日本で暮らしたい外国人の皆様向けに、日々のお困りごとを解決できるよう寄り添った記事を執筆するよう心がけています!
[身分系ビザ]
目次
帰化を通じて日本国籍を取得することは、外国人にとって重要な選択肢です。帰化申請には、さまざまな条件をクリアする必要があります。まず、日本に引き続き5年以上居住していることが求められ、そのうち3年間は就労ビザで活動していることが必要です。
また、18歳以上であることや、素行が善良であることも重要です。犯罪歴がないことや公的義務を果たしていることが求められ、さらに日本での生活が成り立っているかも審査の対象となります。経済的に自立していること、つまり自己または親族の資産やスキルで生計を営める必要があります。
加えて、帰化する場合には母国の国籍を失うことや、危険思想を持たないこと、日本国憲法を遵守することも条件となります。これらの要件を全て満たすことが、帰化申請を成功させるカギです。
本記事では、帰化を外国人が取得する条件について解説していきます。
外国人の方が日本国籍を取得するには、帰化申請を行う必要があります。日本の法律では二重国籍が認められていないため、帰化許可となった場合は、元の国籍を離脱して日本国籍に変更されます。
・国籍法第四条:日本国民でない者は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
・国籍法第十四条:
帰化申請とは、外国籍の人が特定の国の国籍を取得するために行う手続きのことを指します。帰化申請を行うことで、申請者は日本国籍を取得できます。しかし、帰化申請のプロセスは複雑であり、多くの要件を満たす必要があります。
また、帰化申請の数は年々変動しており、その推移についても「帰化許可申請者数の推移」の見出しで詳しく取り上げます。さらに、日本国籍を取得することで何が変わるのか、日本国籍を取得するのは難しいのか、国籍取得が難しい国はどこなのかについても後の章で詳しく見ていきます。
法務省が公表する「帰化許可申請者数等の推移」の数値を以下にまとめています。
<帰化許可数と帰化不許可数>(直近5年)
年度 | 帰化許可者数 | 不許可者数 |
---|---|---|
令和2年 | 8,673人 | 900人 |
令和3年 | 9,562人 | 863人 |
令和4年 | 9,023人 | 686人 |
令和5年 | 9,836人 | 813人 |
令和6年 | 12,248人 | 639人 |
令和6年には許可数が1万人を超え、過去5年で最も多くなりました。一方で、不許可者数は減少傾向にあります。
<国籍別の帰化許可数>
順位 | 国籍 | 令和4年(2022) | 令和5年(2023) | 令和6年(2024) |
---|---|---|---|---|
1 | 韓国・朝鮮 | 2,663人 | 2,807人 | 2,283人 |
2 | 中国 | 2,262人 | 2,651人 | 3,122人 |
3 | ベトナム | 360人 | 625人 | 408人 |
4 | ブラジル | 340人 | 526人 | 498人 |
5 | フィリピン | 217人 | 347人 | 323人 |
6 | ペルー | 185人 | 206人 | 210人 |
7 | ネパール | 139人 | 331人 | 585人 |
8 | バングラデシュ | 125人 | 147人 | 196人 |
9 | スリランカ | 80人 | 160人 | 220人 |
10 | パキスタン | 75人 | 108人 | 153人 |
その他 | 613人 | 892人 | 865人 | |
総数 | 7,059人 | 8,800人 | 8,863人 |
国籍別の帰化許可数を見ると、依然として韓国・朝鮮および中国の方々が大きな割合を占めております。令和6年には中国からの帰化者数が最も多く、韓国・朝鮮を上回りました。これら2つの国籍の方々の帰化者数は、直近3年間を通じて常に上位に位置しており、日本における歴史的・地理的な背景が反映されているものと考えられます。
一方で、東南アジア諸国からの帰化も着実に増加しており、特にベトナムやネパールの伸びが目立っております。令和6年にはネパールが585人と大きく増加し、第3位に浮上いたしました。こうした傾向から、日本社会の多国籍化が進んでいることがうかがえます。
また、ブラジルやペルー、フィリピンといった南米・アジア系の国々からの帰化も安定的に推移しており、地域的に幅広い国籍の方々が帰化されていることが分かります。上位10カ国に含まれない「その他」の国籍からの帰化者数も毎年800人前後にのぼっており、帰化申請者の出身国が多様化している状況が見て取れます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
では、外国人が帰化して日本国籍を取得すると何が変わるのか確認しておきましょう。
在留資格の手続きの負担がなくなることは、外国人にとっては大きなメリットになります。
帰化すれば、在留資格の更新や在留カードの所持など、外国人ならではの対応が要らなくなります。日本国籍になるため、外国人だからできなかった様々な問題が解消されます。
帰化を通じて日本国籍を取得すると、戸籍とパスポートを日本名で作成することが可能です。これにより、公式な記録や身分証明書が日本の法律に基づいたものとなるため、社会生活において多くの利益を享受できます。
特に、戸籍があることで結婚や子どもの出生などの手続きがスムーズになり、法律上の権利が明確に保障されます。また、日本名を持つことで日本社会における融合が進み、日常の生活や仕事においても円滑なコミュニケーションが期待できるのも大きなメリットです。
さらに、パスポートを日本名で保持することで、旅行や海外での身分証明が容易になります。これらの要素は、日本国内での安心感や信頼性を高め、将来にわたる生活の安定にもつながるでしょう。帰化を選択する際には、日本名の取得も重要な場所となるため、その意義を理解しておくことが大切です。
配偶者や子どもが日本人の場合は、家族全員が同じ戸籍に入ることができます。また、外国人が日本で公的な手続きをする場合、母国の領事館から書類を取り寄せる必要がありますが、帰化した後であれば、日本人と同じように最寄りの役所で済ませることができるので、手間が無くなります。
保険、福祉、年金、教育等の社会保障が受けられるようになります。
ローンを利用して住宅や不動産、自動車などを購入することも可能です。帰化することは日本人としての信用度が上がるため、融資を受けやすくなります。
国家公務員など、日本人しかなれない公的機関の職業にも就職できるようになります。就労制限のない永住者の場合は、市役所や警察など公的機関の就職は認められていません。
帰化して日本国籍を取得するには、以下の帰化要件を満たす必要があります。
住所条件は、帰化申請において非常に重要な要素です。申請者は、日本国内に5年以上継続して居住していることが基本要件となります。ただし、特定の条件を満たす場合、居住年数が短縮されることもあり、特に日本人との婚姻歴がある場合などは、申請者にとって有利な条件となります。
また、住所が安定していることも大切で、転居する際には新たな住居形態や契約状況を示す必要があります。これにより、申請者が日本の社会にしっかりと根ざしていることを証明できます。
帰化申請における能力条件は、申請者が日本語を十分に理解し、コミュニケーションが取れる能力を持つことを求められます。具体的には、日常生活や仕事に必要なレベルの日本語能力が必要です。この要件は、申請者が日本社会に適応し、円滑な生活を送るために不可欠です。
能力条件には、読み書きができることや、基本的な会話能力も含まれます。そのため、日本語のテストを受けることが求められるケースもあります。この条件をクリアすることで、申請者は日本での暮らしに必要な情報を適切に理解し、自身の意見をスムーズに伝達することができると見なされます。
素行条件は、帰化申請における重要な要素の一つです。申請者の素行が善良であることが基本条件となります。
具体的には、過去の納税状況や犯罪歴、社会への迷惑行為の有無などが考慮され、総合的に判断されます。審査においては、社会通念に照らした行動が求められ、日常生活においても社会の一員としての責任を果たしていることが重要です。
生計条件は、帰化申請において極めて重要な側面です。申請者は、日本での生活を安定して営むための経済的基盤を持っている必要があります。具体的には、安定した収入源や資産を証明しなければなりません。また、無職や扶養に依存した状態での申請は難しいとされています。
生活費を賄うための資金が十分であることも重要であり、これがないと帰化後の生活が不安定になる可能性があります。申請者は、過去の収入状況や職業に関する資料をしっかりと準備し、審査に臨む必要があります。
重国籍防止条件は、帰化申請において特に重要な要素です。日本国籍を取得するためには、申請者が必ず母国の国籍を喪失する必要があります。この条件は、重国籍を防ぐために設けられており、申請者が帰化する際には主に自動的に母国国籍が失われることが求められます。
しかし、本人の意思によらず母国の国籍を維持する特別な事情がある場合には、通常の条件を満たさないこともあります。そういったケースでは、特例として帰化が許可される場合があるため、申請者は自らの国籍状況を事前に確認しておくことが重要です。
憲法遵守条件は、帰化申請において重要な要素です。日本国籍を取得するためには、日本国憲法を遵守する意思が求められます。
この条件は、申請者が国法を尊重し、社会の一員としての責任を果たす姿勢を持っていることを示すものです。具体的には、憲法の基本的な原則や人権の尊重を理解し、それに基づいて行動することが期待されます。
さらに、暴力的手段による国の破壊を企てたり、そのような思想を持つ団体に所属している場合は、帰化が許可されないため、申請者は自らの価値観を明確にし、社会貢献の意欲を示すことが求められます。これを満たすことで、帰化申請の際に信頼性が増し、認められる確率が高まるのです。
日本語能力は、帰化申請において非常に重要な要件です。申請者は、日常生活や仕事に支障がない程度の日本語能力を持っていることが求められます。
この能力には、基本的な会話能力や読み書きの技能が含まれます。日本語は帰化手続きにおいて必要な書類の案内や、実際の審査過程でも使用されるため、十分な理解が不可欠です。日本社会においてスムーズに生活を営むためには、言語の習得が大きな役割を果たします。したがって、帰化を希望する場合は、早期からの日本語学習が推奨されます。
帰化申請の条件についてさらに詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
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日本国籍を取得する難易度は、特に以下のポイントが比重を占めています。
帰化申請で最も手間のかかる作業が書類の収集です。帰化申請の提出書類は、日本国内で収集できる書類以外に本国から取り寄せる書類が必要です。
申請人が日本にいて本国に帰国せずに書類を収集するには、家族や知人に頼ってお願いするようになります。申請人の国籍によっては、妥当な書類が見つからず時間がかかるケースもあります。また、本国書類はすべて翻訳作業が必要になるため、そのための作業時間と費用も考えておく必要があります。
帰化申請の書類手続きについて不安がある方は専門家にご相談ください。
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日本国籍を取得するには、帰化するための7つの要件(住居条件、能力条件、素行条件、生計条件、喪失条件、思想条件。日本語能力条件)を満たしていることと、これらを総合的に審査されます。ただし、以下の該当者の場合は、要件が緩和されます。
・日本生まれである
・日本人の配偶者である
・日本人の子供である
・日本人の養子である
では、日本以外で、国籍を取得するのが難しいと言われている国について、参考に一覧を紹介しておきます。国によっては二重国籍を認めている場合もあり、居住年数については各国共通して長期居住歴が必要な要件となっているようです。
オーストリア:
永住権を取得している外国人がオーストリアに帰化するには、継続して10年以上オーストリアに居住している必要があります。オーストリアも二重国籍を認めていません。
ドイツ:
8年以上のドイツでの居住歴が必要です。移民統合コースを受講し修了した人は7年に短縮されます。二重国籍はドイツでも認められていません。
アメリカ:
アメリカの永住権を取得した後、5年以上の居住歴が必要です。
その他、スピーキング、リーディング、ライティングなどの英語テストがあります。
スイス:
スイスに帰化する場合、EU加盟国の国民を除き、継続して10年以上スイスに居住する必要があります。スイスでは二重国籍が認められています。
日本の生活が長く、将来的にも日本で暮らしていく予定がある外国人は、日本国籍が取得できる「帰化」申請を検討することができます。
日本国籍を取得するには、帰化要件を満たしていることと、申請に必要なたくさんの書類を収集することが必要です。
「帰化」申請は他の在留資格の手続きよりも難易度が高くなる傾向にありますので、申請を考えている方は、一度行政書士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
日本国籍の取得についてお悩みの方は、行政書士法人GOALがサポートいたします。
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