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在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは?申請や要件についても解説

  • 投稿:2025年08月10日
在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは?申請や要件についても解説

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは、企業や団体との契約に基づき、専門的な知識や技術を要する業務に従事する外国人が取得できる在留資格です。このビザは、一般的に「就労ビザ」として知られており、理系の技術分野、文系の人文知識分野、そして国際業務分野の3つの活動内容をカバーしています。申請には特定の要件を満たす必要があり、適切な手続きを踏むことが重要です。

本記事では、技人国ビザとは何か、そしてその申請と要件について詳しく解説します。

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本ビザの概要

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、日本国内の企業や公的機関と契約を結び、専門的な技術や知識を活かした業務に従事する外国人に与えられる在留資格です。このビザは、日本社会の国際化を推進し、各分野における専門的な人材を受け入れることを目的として設けられました。

具体的な活動内容としては、自然科学分野の技術を要する業務、人文科学分野の知識を要する業務、そして外国の文化に根差した思考や感受性を必要とする国際業務が挙げられます。

「技術」分野の活動内容

技術分野で認められる活動内容は、理学や工学といった自然科学分野に属する専門的な技術や知識を要する業務です。具体的には、システムエンジニア、プログラマー、設計、生産技術者などが挙げられます。

例えば、IT企業でウェブサイトやアプリケーションを開発するエンジニア、CADを使って建築物の設計を行う技術者、または工場で生産ラインの自動化を担うエンジニアなどがこの分野に該当します。これらの業務は、専門的な知識と技術を基盤としており、反復的な単純作業とは区別されます。

「人文知識」分野の活動内容

人文知識分野で認められる活動内容は、法律学、経済学、社会学などの人文科学分野に属する知識を要する業務です。この分野には、企業の企画、マーケティング、広報、経理、財務、人事、総務、営業などの事務職が該当します。

例えば、市場調査やプロモーション戦略を立案するマーケティング担当者、会社の帳簿管理を行う経理担当者、または国内外の顧客と交渉を行う営業職などがこの在留資格の対象となります。これらの業務は、単なる事務作業ではなく、専門的な知識に基づいた判断や分析が求められます。

「国際業務」分野の活動内容

国際業務分野で認められる活動内容は、外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務です。具体的には、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾や室内装飾のデザイン、商品開発などが該当します。

例えば、外国人向けに多言語で情報発信する広報担当者、外国語での会議を円滑に進める通訳者、またはホテルや観光施設で外国人顧客の対応をするスタッフなどがこの分野の対象です。

これらの業務は、申請者の母国語能力や異文化理解が不可欠であり、日本人では代替が難しい専門性が求められる特性があります。

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「技術・人文知識・国際業務」の要件

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得には、申請者が特定の要件を満たす必要があります。主な要件としては、学歴、実務経験、給与水準、企業の経営状態が挙げられます。これらの要件は、申請者が日本で専門的な業務に適切に従事できる能力と、雇用する企業が安定して外国人材を受け入れられる体制が整っているかを確認するために設けられています。

学歴に関する要件

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の「技術」分野および「人文知識」分野においては、学歴に関する要件が定められています。申請者は、原則として、従事しようとする業務に必要な技術や知識に関連する科目を専攻し、大学(日本の短大を含む)を卒業しているか、またはこれと同等以上の教育を受けている必要があります。日本の大学に限らず、海外の大学を卒業している場合も認められますが、その場合は学士号以上の学位を取得していることが条件です。

また、日本の専門学校を卒業し、「専門士」または「高度専門士」の称号を付与されている場合も、学歴要件を満たすとみなされます。ただし、海外の専門学校卒業では、学歴要件としては認められないため、注意が必要です。留学生として日本に在留している方の場合、卒業した大学や専門学校の専攻内容と、これから従事する業務内容の関連性が審査で非常に重視されます。関連性が低いと判断される場合、不許可となる可能性がありますので、学歴と職務内容の一致が重要です。

実務経験に関する要件

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得には、学歴要件を満たさない場合でも、実務経験によって要件を満たすことが可能です。「技術」分野および「人文知識」分野の場合、従事しようとする業務に必要な技術または知識に関連する実務経験が10年以上あることが求められます。この10年の実務経験には、関連する学校で当該知識や技術に係る科目を専攻した期間も含まれます。

一方、「国際業務」分野においては、外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務(翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイン、商品開発など)の場合、3年以上の実務経験があれば要件を満たせます。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳、または語学の指導に係る業務に従事する場合は、この3年以上の実務経験が不要となる例外規定もあります。実務経験で申請する場合、その経験を客観的に証明する書類の提出が重要です。

給与に関する要件

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、外国人が受け取る給与が日本人と同等以上であることが重要な要件です。これは、外国人労働者が不当に低賃金で雇用されることを防ぎ、公正な労働環境を確保することを目的としています。

具体的には、同じ会社で同様の業務に従事する日本人の給与と比較して、同等以上の報酬が支払われる必要があります。報酬には基本給と賞与が含まれますが、通勤手当や住宅手当などの実費弁償的な手当は原則として含まれません。報酬の月額が17~18万円を下回る場合、または日本人社員より明らかに低い場合は、不許可となるリスクが高まるため注意が必要です。企業は雇用契約書に日本人と同等以上の給与額を明記し、入国管理局に提出する必要があります。

また、企業の経営状態が不安定である場合、給与の支払い能力が疑われ、審査に影響することもあるため、財務諸表や納税証明書などの整備も重要です。

その他の審査基準

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審査では、学歴や実務経験、給与要件以外にもいくつかの重要な基準があります。まず、申請者が従事しようとする業務内容が、その在留資格の活動範囲に合致しているかどうかが厳しく審査されます。

例えば、専門的な知識や技術を要しない単純労働は認められません。次に、雇用する企業の経営状態が安定しているか、事業が適正に運営されているかも重要な判断材料となります。企業の業績が不振である場合や、債務超過の状態にある場合は、外国人を受け入れる体制が不十分と判断され、審査に影響を与える可能性があります。

また、提出される雇用契約書の内容が適切であるか、具体的な業務内容や勤務条件が明確に記載されているかも確認されます。申請人本人の素行、例えば過去に法令違反がないか、留学中に資格外活動の範囲を超えてアルバイトをしていないかなども審査の対象となります。

虚偽の申請や書類の不備、矛盾がある場合も不許可の原因となるため、提出書類は正確かつ一貫性を持たせることが重要です。

本ビザの申請の流れ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」のビザ申請は、いくつかのステップを踏んで行われます。海外から外国人を呼び寄せる場合と、すでに日本に在留している外国人が在留資格を変更する場合で、申請の流れが異なります。全体の流れとしては、企業が外国人と雇用契約を締結し、その後、在留資格認定証明書交付申請(海外からの招へいの場合)または在留資格変更許可申請(国内の留学生等の雇用の場合)を住所を管轄する出入国在留管理局に行います。

申請に必要な書類

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の申請には、申請人本人に関する書類と雇用先の企業に関する書類の双方が必要です。申請の種類(新規取得、変更、更新)や企業のカテゴリー(規模や実績)によって必要な書類は異なりますが、主なものは以下の通りです。

〇本人資料

「在留資格認定証明書交付申請書」または「在留資格変更許可申請書」

顔写真(縦4cm×横3cm)

パスポートのコピー

履歴書

最終学歴の卒業証明書や成績証明書

日本語能力を証明する書類など

※専門学校卒業の場合は「専門士」または「高度専門士」の称号を付与されたことを証明する文書

〇企業に関する書類

雇用契約書または労働条件通知書の写し

登記事項証明書

事業内容を明らかにする資料(会社案内など)

直近の年度の決算文書の写し

給与支払事務所等の開設届出書の写し

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表など

〇派遣契約に基づいて就労する場合

派遣契約書や労働者派遣事業の許可証の写し

必要書類は多岐にわたり、一つでも不備があると審査が滞る可能性があるため、正確かつ網羅的に準備することが重要です。

審査にかかる期間

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の審査にかかる期間は、申請の種類や時期によって異なりますが、一般的には認定証明書交付申請で1ヶ月から3ヶ月程度とされています。出入国在留管理庁が公表している標準処理期間は、認定証明書交付申請が3ヶ月、在留資格変更許可申請が40日程度、在留期間更新許可申請が30日程度です。

しかし、実際の審査期間はこれらの期間を上回ることも珍しくありません。特に、海外から外国人を呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請は、より時間がかかる傾向にあります。申請内容に不備があったり、追加資料の提出を求められたりすると、さらに審査期間が延びる可能性があります。そのため、時間に余裕を持って申請手続きを進めることが重要です。

また、認定証明書が交付された場合、交付から3ヶ月以内に入国しなければ効力が失われるため、この期間にも注意が必要です。

申請が不許可となるケース

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の申請が不許可となるケースには、いくつかの共通する問題点があります。

主な不許可事例としては、従事しようとする業務内容と申請人の学歴や職歴との関連性がない場合が挙げられます。例えば、経済学部卒の外国人材が弁当の箱詰め作業や販売のような単純労働に従事する申請は、専門性が認められず不許可となります。

また、企業側の問題として、受入れ機関(雇用主)の経営状態が不安定である場合や、日本人社員と同等以上の給与が支払われない場合も不許可の大きな原因となります。申請人と同時に採用された日本人新卒の報酬が外国人よりも高い場合や、月額報酬が極端に低い場合は、給与に関する要件を満たさないと判断されます。申請人自身の在留状況に問題があるケースも不許可につながります。例えば、留学生時代に資格外活動許可の範囲(週28時間以内)を大きく超えてアルバイトをしていた事実が判明した場合、在留状況が良好ではないとみなされ、不許可となることがあります。雇用契約書の内容が不明確であったり、提出書類に不備や虚偽があったりすることも、トラブルや審査の遅延、最終的な不許可につながる要因です。

技能実習生からこのビザへの変更を検討する際も、過去の在留状況や業務内容の関連性が厳しく審査されるため、これらの問題点に注意が必要です。

本ビザの在留期間と注意点

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の在留期間は、個々の申請内容や状況によって異なり、日本での就労生活を送る上でいくつかの重要な注意点が存在します。期間については柔軟な判断がなされる一方で、転職や副業、単純労働の可否など、日々の活動には明確なルールが設けられています。これらの点を正しく理解し、遵守することが、安定した日本での生活と就労を継続するために不可欠です。

在留期間について

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」で認められる在留期間は、5年、3年、1年、または3ヶ月のいずれかです。これらの期間は、申請者の学歴や職務経験、雇用する企業の規模や経営状況、過去の在留履歴など、様々な要素を総合的に判断して決定されます。

例えば、企業の安定性や継続性、申請人の専門性や貢献度が評価されると、より長い在留期間(5年や3年)が許可される可能性が高まります。特に、3年以上の在留期間が認められることは、長期的なキャリアプランを立てる上で望ましいとされています。初回の申請では1年が付与されることもありますが、これはあくまで初回審査での判断であり、更新時に問題がなければより長い期間が付与されることもあります。在留期間の更新申請は、期間満了の約3ヶ月前から行うことが推奨されており、標準処理期間を考慮して早めに準備を進めることが重要です。

転職時の手続き

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」を持つ外国人が転職する際には、いくつかの重要な手続きが必要です。まず、転職先での業務内容が現在のビザで認められている活動範囲内であるかを確認することが非常に重要です。転職後は、入管に対し「契約機関に関する届出」を提出する必要があります。これは、以前の所属機関を離れたこと、そして新しい所属機関と契約を結んだことを報告するものです。

この届出は、転職から14日以内に行う義務があり、怠ると法律違反となる可能性があります。手続きを怠ったり、不適切な転職を行ったりすると、在留資格の取り消しや今後のビザ申請に影響が出る可能性があるので、注意が必要です。

副業とアルバイトの可否

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」を持つ外国人が副業やアルバイトを行うことは、原則として可能です。しかし、その内容によっては「資格外活動許可」の取得が必要となります。「資格外活動許可」とは、現在の在留資格で認められている活動以外の収入を伴う活動を行うための許可です。例えば、本業がシステムエンジニアで、副業として翻訳の仕事をする場合、本業と同じ「技術・人文知識・国際業務」の範囲内の活動であれば資格外活動許可は不要です。

しかし、許可された在留資格の活動範囲外の業務に従事する場合、例えば、コンビニエンスストアでのアルバイトや工場での単純労働などを行う場合は、資格外活動許可が必要となります。許可を得ずに資格外活動を行った場合、入管法違反となり、在留資格の取り消しや次回のビザ更新に影響が出る可能性があります。資格外活動許可を得るための条件としては、申請者の在留状況に問題がないこと、また、その活動が本業の遂行を妨げないことなどが挙げられます。

包括許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイト活動に従事できます。副業やアルバイトを検討する際は、必ず自身の在留資格の活動内容と照らし合わせ、必要に応じて事前に資格外活動許可を申請することが重要です。

単純労働の禁止

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」は、専門的な知識や技術を要する業務に従事することを前提としており、いわゆる単純労働は認められていません。単純労働とは、反復訓練によって習得可能な、専門性が低い業務を指します。例えば、工場でのライン作業、建設現場での肉体労働、清掃業務、または店舗でのレジ打ちや品出しといった業務は、この在留資格の対象外となります。申請人の学歴や職務経験が、従事しようとする業務内容と関連性がない場合、単純労働とみなされ、ビザの不許可につながる可能性があります。

例えば、大学で専門分野を学んだにもかかわらず、その知識を必要としない業務に就こうとすると、申請が認められないことがあります。このため、企業が外国人を雇用する際には、その業務内容が「技術・人文知識・国際業務」のいずれかの分野における専門性を必要とするものであることを明確に証明する必要があります。

単純労働と判断される業務に従事した場合、在留資格の取り消しや更新の不許可といった問題が生じる可能性があるため、注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」の違い

「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」は、どちらも日本で専門的な業務に従事する外国人に与えられる在留資格ですが、いくつかの重要な違いがあります。

「技術・人文知識・国際業務」は、特定の専門分野における知識や技術を活かすための基本的な就労ビザである一方、「高度専門職」ビザは、より高い専門性や能力を持つ外国人材を優遇するために設けられた在留資格です。高度専門職ビザは、ポイント制が導入されており、学歴、職務経験、年収、研究実績などの項目ごとにポイントが加算され、合計点が一定基準(70点以上)に達した場合に申請が可能です。高度専門職ビザの取得者には、通常の在留資格では認められない優遇措置が与えられます。

例えば、在留期間が最長5年である「技術・人文知識・国際業務」に対し、「高度専門職1号」は一律5年の在留期間が付与され、その後は「高度専門職2号」として無期限の在留が可能です。また、複合的な活動が許可される、配偶者の就労が認められる、親や家事使用人の帯同が許可される(一定の条件あり)、永住許可申請の要件が緩和されるなど、多くのメリットがあります。

まとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」の制度の仕組みなどを解説してきました。このビザは、専門的な知識や技術を活かした業務に従事する外国人が対象であり、学歴や実務経験、給与水準など、複数の要件を満たす必要があります。特に、業務内容と学歴の関連性、日本人と同等以上の給与、企業の安定した経営状態が審査において重視されるポイントです。申請手続きは複雑であり、書類の準備から許可まで数ヶ月を要する場合もありますので、余裕を持った準備と正確な情報提供が不可欠となります。

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よくある質問

Q 申請にかかる費用について

A. 申請の種類によって費用が異なります。まず、出入国在留管理庁に支払う手数料(印紙代)は、在留資格変更許可申請および在留期間更新許可申請の場合、2025年4月1日以降の申請については6,000円です。ただし、2025年3月31日までに受け付けられた申請については、改定前の4,000円が適用されます。オンライン申請の場合は5,500円となります。在留資格認定証明書交付申請には印紙代はかかりません。

行政書士などの専門家に申請代行を依頼する場合の費用は、申請の種類や事務所によって幅があります。海外からの外国人を呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請の場合、10万円から20万円程度が目安です。 また、日本に在留している外国人が「技術・人文知識・国際業務ビザ」へ変更する場合の在留資格変更許可申請も、10万円から16万5千円程度かかることがあります。 在留期間更新許可申請の費用は、5万円から16万5千円程度です。


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