
三輪美幸
行政書士法人GOALのVISAチームリーダー。これまでの豊富なビザ申請経験をもとに、日本で暮らしたい外国人の皆様向けに、日々のお困りごとを解決できるよう寄り添った記事を執筆するよう心がけています!
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目次
ウズベキスタンは中央アジアに位置し、多様な文化と歴史を持つ国です。ウズベキスタン人の国民性や主要な信仰であるイスラム教について深く掘り下げていきます。また、日本との相違点にも焦点を当て、理解を深めていきましょう。
本記事では、ウズベキスタン人の国民性や信仰について解説してきます。
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ウズベキスタン共和国は中央アジアに位置する多民族国家であり、2024年の人口は国連人口基金によると3,570万人、Trading Economicsの推定では3,680万人、2024年改訂版の世界人口推計では3,705万人とされています。 日本の約1.2倍の面積を持ちますが、西側に広がる砂漠地帯のため、実際に人が住める地域は面積ほど広くありません。
しかし、人口は中央アジア5カ国の中で最も多く、特に東部のフェルガナ盆地に集中しており、現在も増加傾向にあることが特徴です。この国は旧ソ連の構成国であり、1991年に独立を果たしました。公用語はウズベク語ですが、ソ連時代に公用語として使われていたロシア語もビジネスや政治、教育など多岐にわたる場面で広く使用されています。歴史的にシルクロードの要衝として栄え、多様な民族や文化が交錯してきた背景を持ち、現在もイスラム教が主流ながらも宗教的には比較的寛容な国です。
日本に在住しているウズベキスタン人は、主に留学生や就労目的で来日している人々が多いです。これは日本の高い教育水準や先進技術への関心、そしてウズベキスタン国内の平均月収が日本の約5分の1程度であるという経済的な背景が大きく影響しています。ウズベキスタンの平均月収は2024年に423米ドル(約6.6万円)を記録しています。
日本政府とウズベキスタン政府は「ウズベキスタンからの特定技能人材1万人受け入れプロジェクト」に関する覚書を締結し、今後5年間で合計1万人の特定技能人材の受け入れを目指すなど、両国間の人的交流は近年急速に拡大しています。ウズベキスタンは親日国としても知られており、第二次世界大戦後に日本人捕虜が建設に携わったナヴォイ劇場は、ウズベキスタン人の心に深く刻まれており、日本人の勤勉さや規律を高く評価する親もいるほどです。若い世代を中心に日本の技術や文化に憧れを抱き、日本語や日本文化を学ぶ学生も増えています。親や親戚の目が届かない日本では、ウズベキスタン人同士だけでなく日本人と交際することもあり、多様な生活を送っています。
ウズベキスタン人の国民性は、総じて人懐っこく、好奇心に忠実で物おじしない特徴があります。彼らは社交的で友好的な性格を持ち、人とのコミュニケーションを楽しみ、初対面の人に対しても積極的に話しかけ、親しみやすい雰囲気を作り出します。特にお客様をもてなす文化が根付いており、訪問者を歓迎し、心地よい環境を提供することに喜びを感じるホスピタリティが豊かです。また、誠実で謙虚な人柄が多く、職場では目立つことなくコツコツと真面目に働くタイプが目立ち、チームワークを重んじる傾向があることも彼らの人柄を形成する重要な要素です。しかし、必要に応じて自分の意見をしっかりと伝えるバランス感覚も持ち合わせています。
ウズベキスタン人の国民性は、人懐っこく社交的な人柄が特徴的です。彼らは初対面の相手とも笑顔で気軽に会話を交わし、困っている人がいればすぐに助ける親切さも持ち合わせています。その背景には、家族との同居生活の中で培われる思いやりの心が深く関係しています。
また、バスや地下鉄などの公共交通機関では、高齢者だけでなく妊婦や女性、子どもにもすぐに席を譲る光景が日常的に見られ、人々を敬う心が根付いていることがうかがえます。このように、ウズベキスタン人は他者を尊重し、親しみやすい対人関係を築くことを得意としています。
ウズベキスタン人の性格は、日本人の気質と相性が良い側面が多くあります。彼らは初対面の人に対しても緊張することなく笑顔で会話でき、自分よりも他者や職場全体を第一に考えて行動する傾向があります。困っている人をすぐに助ける親切心も持ち合わせているため、外食業の接客スタッフや介護職員など、お客様や利用者と接する機会が多い職種に向いています。
また、チームワークを重視し、集団での協力を好む点は日本人と共通しています。相互の信頼関係を築き、助け合いながら仕事を進めることを得意としており、勤勉さも強みの一つです。任された業務に対しては最後まで責任を持って取り組む姿勢が評価されており、これは日本の職場文化にも合いやすい特徴と言えるでしょう。
ウズベキスタン人の性格には、日本人とは異なる特徴も見受けられます。彼らは時間を厳密に守るという意識が日本人に比べて低い傾向があり、その場で話している人との時間を大切にするため、約束の時間を守ることよりも現在の会話を優先することがあります。ただし、この点については、日本での仕事の進め方や時間管理の重要性を事前にしっかりと説明することで、日本のルールに適応できる柔軟性を持っています。
また、人懐っこくおしゃべり好きな一方で、相手のプライバシーに関わる質問、特に結婚や家族のことについて遠慮なく尋ねることがあります。このような文化的背景の違いを理解し、「日本で他人にしない方が良い質問リスト」などを事前に伝えることで、お互いの文化を尊重した円滑なコミュニケーションを促すことができるでしょう。仕事においても、日本人のように分刻みや時間刻みで細かくスケジュールを決めるのではなく、「仕事があったら取り掛かる」といった緩やかな姿勢が見られるため、効率を重視する日本の職場では、いつまでに何を終わらせるかという期限を明確に設けることが重要となります。
さらに、ウズベキスタンでは会社勤めの男性が副業を持つことが一般的であり、ビジネスに成功した人が世間的に尊敬されるため、本業以上に副業に力を入れる人もいるという側面も理解しておく必要があります。
ウズベキスタン人の身体的特徴は、多様な民族の血が混じり合っているため、非常に幅広いのが特徴です。歴史的にシルクロードの交差点であったことから、西洋人と東洋人の両方の要素を兼ね備えた顔立ちの人々が多く見られます。一般的に、目鼻立ちがはっきりしており、鼻筋が通った大きめの鼻を持つ人も少なくありません。男性は日本人男性よりも身長が高く、がっしりとした体格の人が多い傾向があり、建設業やビルクリーニングといった肉体労働に適していると言われています。女性については日本人女性と体型があまり変わらないとされていますが、幼少期を田舎の村や山で過ごした人は、日本人よりもかなり体力がある場合があります。
ウズベク人が人口の約8割を占めていますが、彼らは日本人から見るとトルコ系の顔立ちに見えることが多いでしょう。その他、タジク人やカザフ人、ソ連時代に移住してきた朝鮮系の人々やロシア人なども存在し、多様な人種が共存しています。眉毛を繋げた女性を見かけることもあり、これは中央アジアで眉毛が繋がった女性が美しいという共通の感覚があったためですが、近年はグローバル化の影響もあり、以前ほど見かけなくなりました。全体として、ウズベキスタン人は日本人を含む東アジア人の顔つきとは異なる特徴を持ち、その目新しさが魅力に映ることもあるようです。
ウズベキスタンはイスラム教の価値観が深く浸透しており、人々の生活習慣に大きな影響を与えています。これは、イスラム教が国民の大多数によって信仰されている世俗国家であることと関連しています。例えば、イスラム教の戒律に基づき、豚肉やアルコールの摂取は禁止されています。ラマダン期間中の断食も重要な習慣ですが、他のイスラム国家と比較すると比較的寛容な側面もあります。結婚は「当たり前」と捉えられ、若いうちにするのが一般的であり、家族の絆や相互扶助が非常に重視されています。
また、仕事に対しては安定を重視し、長期的なキャリア形成に前向きな姿勢を持っていますが、家族を優先して仕事を休んだり、時間にルーズになったりする一面も持ち合わせています。こうした価値観や習慣は、ウズベキスタン人の生活様式や行動原理を理解する上で重要な要素となります。
ウズベキスタンの食文化は、イスラム教の価値観が深く浸透しているため、その影響が強く表れています。イスラム教の戒律に基づき、豚肉やアルコールの摂取は基本的に禁止されており、ハラール認証を受けた食品が一般的です。日常的な食事のルールとして、豚肉以外の肉や卵、乳製品、魚、野菜、果物、穀物、豆類などは摂取が可能です。
また、イスラム暦の9月にはラマダン(断食)が行われますが、他のイスラム国家と比べると比較的戒律が緩やかであり、市民の中には飲酒をする人もいれば、ラマダンを行う人もまばらであるとされています。首都タシケントでは、日本人シェフがいる和食料理店も開店するなど、多様な食文化が広がりつつあります。しかし、地元のウズベク料理も日本人にとって口に合うテイストが多く、特にラグマン(うどんのような麺)やプロフ(炊き込みご飯)は有名で、地域ごとに異なる味付けを楽しむこともできます。このように、ウズベキスタンでは伝統的なイスラムの食文化を基盤としつつも、多様な食の選択肢が提供されています。
ウズベキスタンにおける恋愛と結婚は、伝統的な価値観と文化に深く根ざしています。結婚は「当たり前」とされており、女性は高校卒業後の18歳から22歳くらいまで、男性は20歳から25歳くらいまでが結婚適齢期と考えられています。日本のように独身でいる人は少なく、結婚は人生において重要なステップと位置づけられています。結婚相手は、全体の約半分がお見合いで見つけられ、宗教や文化的な背景が一致することが重視されます。
恋愛においてはオープンな関係は一般的ではなく、結婚前の女性が単独で男性とデートしたり、一緒に過ごしたりすることは厳禁とされています。男性から女性へのアピールはありますが、女性から男性にアピールすると「軽い女性」と見なされやすい傾向があります。男性はレディーファーストの気質を持つ人が多く、女性を大切にする一方で、家庭では女性が男性を敬い、男性よりも早起きして家事を行うなど、相互に敬う関係性が特徴的です。結婚式の規模は大きく、多くの時間とエネルギーを要し、パーティー以外にも様々な伝統的な儀式が行われます。日本に滞在しているウズベキスタン人の中には、親や親戚の目が届かない環境でウズベキスタン人同士や日本人と交際する人もいますが、結婚しているかどうかの確認は重要視されます。
また、結婚時に女性が処女であることが重視される慣習も根強く残っている地域もあります。近年では、男女は対等と考える新しい価値観を持つ家庭と、女性は男性に従うべきという伝統的な価値観を持つ家庭の割合は体感的に7:3程度となっており、地域によってもその考え方に違いがあるようです。
ウズベキスタン人の仕事観は、安定を重視し、長期的な就労やキャリア形成に前向きな姿勢を持つ傾向があります。彼らは勤勉で、任された業務には最後まで責任を持って取り組み、向上心を持って新しい仕事にも意欲的に取り組む強みがあります。多くの人は、月曜日から土曜日まで週に6日働き、日本人よりも労働時間が長いこともあります。
しかし、仕事の進め方においては日本人とは異なる点が見られます。ウズベキスタンでは、分刻みや時間刻みで細かくスケジュールを決めて仕事をするのではなく、「仕事があったら取り掛かる」といった緩い姿勢が一般的です。効率的に作業を終えようとする意識は日本人に比べて低い傾向があるため、ウズベキスタン人を雇用する際には、日本の仕事の時間の使い方を教え、具体的な期限を設けるなどの配慮が必要です。
また、ウズベキスタン社会では、家族のために仕事を休んだり、時間にルーズになったりすることも許容される文化があり、日本的な価値観とは異なる側面も持ち合わせています。さらに、基本的に会社勤めの男性は自分のビジネス(副業)を持つことが多く、ビジネスに成功した人が世間的に尊敬されるため、勤め先の仕事以上に自分のビジネスに力を入れる人もいるのが特徴です。
ウズベキスタンの主要な宗教はイスラム教であり、国民の大多数がムスリムです。2009年の報告では、全人口の96.3%がイスラム教を信仰しているとされています。ウズベキスタンは世俗国家であり、多様な宗教や宗派の信仰者が調和して共存している国です。憲法によって宗教の自由が保障されており、すべての人がいかなる宗教を信仰するか、あるいは信仰しないかを選ぶ権利を有しています。イスラム教は8世紀頃にアラブ人によって中央アジアに伝えられ、ウズベキスタンに浸透していきました。ソビエト連邦時代には、政府による反宗教キャンペーンやロシア化の影響で多くのモスクが閉鎖され、イスラム教は抑圧されました。
しかし、ソ連崩壊後の独立以降、イスラム原理主義が勃興することなく、比較的穏やかなイスラム教が信仰されています。スンニ派が主流であり、シーア派のムスリムは少数派です。
イスラム教は、7世紀初頭にアラビア半島のメッカで預言者ムハンマドが創始した一神教です。「イスラム」という言葉はアラビア語で「神に身をゆだねる」ことを意味し、信者は「ムスリム」と呼ばれます。ユダヤ教やキリスト教と同じく唯一絶対の神(アッラー)を信仰し、神がムハンマドを通じて人々に下した啓示とされる聖典「クルアーン(コーラン)」の教えを信じ、それに従うのが特徴です。
イスラム教の信仰の基礎は「六信五行」という概念にまとめられています。「六信」とは、神、天使、聖典、預言者、来世、予定という6つの信仰箇条を指し、「五行」とは信仰告白、礼拝、喜捨(ザカート)、断食(ラマダン)、巡礼という5つの主要な義務を指します。特に礼拝は1日5回行われ、断食はイスラム暦の9月に行われる約1ヶ月間の日中の飲食を断つ行事です。豚肉やアルコールの摂取が禁止されているハラール食は、イスラム教の重要な生活規範の一つです。イスラム教はキリスト教、仏教と並ぶ世界三大宗教の一つであり、世界で約19億人の信者を擁する、キリスト教に次ぐ世界第2位の宗教です。
ウズベキスタンではイスラム教が最も多数の信者を持つ宗教ですが、その他の信仰も存在し、多宗教が共存する環境が特徴です。キリスト教は2番目に信者の多い宗教であり、特にロシア正教会が広く信仰されています。多くのキリスト教徒はロシアにルーツを持つ人々で、ウズベキスタンには独立した正教会は存在せず、ロシア正教会の管轄下にあります。2020年時点で、ウズベキスタンには38の正教会があり、60万人以上の正教徒がいるとされています。
また、カトリック信仰も少数派ながら存在し、タシケントには約100年の歴史を持つイエス・キリストの聖心のカトリック教会があります。さらに、アルメニア使徒教会やユダヤ教のシナゴーグも重要な宗教施設として存在しています。特にブハラ・ユダヤ人は、13世紀の文献にも記録されている中央アジアに住むユダヤ人のコミュニティであり、彼らは長年にわたり独自の言語、信仰、伝統を守り続けてきました。歴史的な背景から、仏教遺跡やゾロアスター教の遺跡も大切に保存されており、多様な宗教の顔を見ることができます。ウズベキスタンの憲法は宗教の自由を保障しており、すべての人が信仰の有無を自由に選択できる権利を持っています。
本記事では、ウズベキスタンという国の概要から、ウズベキスタン人の国民性、価値観、仕事観、そして主要な信仰であるイスラム教について詳しく解説してきました。ウズベキスタン人は人懐っこく社交的で、困っている人には手を差し伸べる親切な国民性を持っています。また、時間を大切にする文化や、家族やコミュニティを重視する価値観も特徴的です。
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