三輪美幸
行政書士法人GOALのVISAチームリーダー。これまでの豊富なビザ申請経験をもとに、日本で暮らしたい外国人の皆様向けに、日々のお困りごとを解決できるよう寄り添った記事を執筆するよう心がけています!
[身分系ビザ]
目次
日本人と結婚した外国人配偶者が日本で暮らすためには、「日本人の配偶者等」という在留資格、いわゆる配偶者ビザの取得が不可欠です。
配偶者ビザは、単に結婚している事実だけでなく、安定した婚姻関係と経済的な基盤があることを証明する必要があり、その申請や更新手続きには多岐にわたる書類が求められます。
本記事では、日本人配偶者ビザの必要書類や申請・更新手続きをわかりやすく解説していきます。
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日本人の配偶者等ビザは、日本人と法律上有効な婚姻関係にある外国人が日本に長期滞在するために必要な在留資格です。このビザを取得することで、外国人の配偶者は日本国内での就労活動に制限がなくなり、どのような職業にも就くことが可能となります。しかし、この日本人配偶者ビザの取得には、単に結婚しているだけでなく、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。主な条件としては、まず夫婦双方がそれぞれの国籍国において法的に有効な結婚手続きを完了していること、そして日本においても法的に認められる婚姻関係にあることが挙げられます。
また、原則として夫婦が同居し、共同生活を営んでいることが求められます。出入国在留管理局は偽装結婚や不正な就労を防ぐため、これらの条件について厳格な審査を行います。
特に、学歴や職歴などの要件が問われないため、入管当局は婚姻の真実性や日本での安定した生活基盤の有無を多角的に確認するのです。内縁関係は法的な夫婦関係とは認められず、同性婚も2022年7月現在では日本において法的に認められていません。
配偶者ビザの新規申請は、外国人配偶者が現在海外にいるか、すでに日本に滞在しているかによって手続きの流れが異なります。
どちらの場合も、婚姻の真実性や日本での安定した生活基盤を証明するための多くの書類を提出し、出入国在留管理局による厳正な審査を通過する必要があります。
申請から許可が下りるまでの期間は、在留資格認定証明書交付申請で約1ヶ月から3ヶ月、在留資格変更許可申請で約2週間から1ヶ月が目安とされています。
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配偶者が海外にいる場合、まずは「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
この申請は、日本に住む日本人配偶者が、海外にいる外国人配偶者を日本に呼び寄せるためのものです。具体的なステップとして、
①日本人配偶者が、出入国在留管理局に必要書類一式を提出して申請する。
②申請が受理されると、出入国在留管理局で審査が行われ、通常1か月から3か月程度で結果が通達。
(審査に通ると「在留資格認定証明書」が交付されますが、これはビザそのものではなく、いわば推薦状のようなものです。)
③この証明書を受け取ったら、日本人配偶者は海外の外国人配偶者へ郵送もしくはメールを送信。外国人配偶者は、受け取った在留資格認定証明書とパスポートを本国の日本領事館に提出し、査証(ビザ)の発給を申請する。
④査証が発給されたら、3か月以内にその査証と在留資格認定証明書を持って日本に入国し、空港で在留カードが交付される。
という流れになります。
配偶者がすでに日本に滞在している場合、現在の在留資格から「日本人の配偶者等」への変更許可申請を行います。例えば、留学ビザや短期滞在ビザなどで日本に滞在している外国人配偶者が日本人と結婚した場合、この手続きが必要となります。
申請の際は、外国人配偶者が居住地を管轄する出入国在留管理局に、必要書類を準備して提出します。
短期滞在ビザからの変更は原則として認められていませんが、日本人との婚姻という特別な事情がある場合は許可される可能性があります。提出後、出入国在留管理局による審査が行われ、通常2週間から1ヶ月程度で結果が通知されます。
審査に通過すれば、新しい在留カードを受け取って在留資格の変更が完了します。
在留資格変更許可申請が不許可になった場合、元の在留資格も含めて在留資格を喪失し、帰国しなければならない可能性があるため、慎重な手続きが求められます。
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配偶者ビザの新規申請では、婚姻の真実性や日本での安定した生活基盤を証明するために、多くの書類提出が求められます。必要なのは、申請の種類(在留資格認定証明書交付申請か在留資格変更許可申請か)によって多少異なりますが、基本的には外国人配偶者と日本人配偶者の双方に関する情報が必要となります。
これらの書類は、一つ一つ正確に準備し、漏れがないように注意しましょう。
出入国在留管理局へ提出する申請書類として、
・「在留資格認定証明書交付申請書」または「在留資格変更許可申請書」
(これらの申請書には、外国人配偶者の個人情報、入国目的、日本での連絡先などを正確に記入します。)
・縦4cm×横3cmの証明写真1枚
・申請人(外国人配偶者)のパスポートと在留カード(日本にいる場合)の原本提示
・夫婦の結婚に至る経緯や日本での生活状況を説明する「質問書」
(質問書は、結婚の信憑性を審査官に理解してもらうためのもので、具体的な交際期間や出会いの状況などを詳細に記載することが求められます。)
外国人配偶者が準備すべき証明書類としては、まず国籍国の機関で発行された結婚証明書または戸籍謄本が必要です。
韓国籍など、戸籍謄本が発行される国籍の場合は、夫婦の婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本でも問題ありません。これらの書類には、日本語訳を添付する必要があります。
また、外国人配偶者のパスポートのコピーも必須です。日本に3か月以上滞在している場合は、母国の在日大使館または領事館で無犯罪証明書を取得することも推奨されます。国によっては独身証明書が存在しない場合もあるため、その際は代替となる証明書が発行可能か窓口で確認しましょう。留学ビザからの変更を申請する場合、学校の成績証明書や卒業証明書、出席率に関する書類なども提出を求められることがあります。
日本人配偶者が準備すべき証明書類として、戸籍謄本(全部事項証明書)が必要です。申請人との婚姻の事実が記載されているもので、婚姻事実の記載がない場合は婚姻届出受理証明書の提出も求められます。発行日から3か月以内の原本を用意しましょう。
世帯全員が記載された住民票の写しも必要です。個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないものを提出してください。日本人配偶者が身元保証人となるための身元保証書も提出します。通常、日本に居住する日本人配偶者が身元保証人となります。
世帯の収入や納税状況を証明する書類は、配偶者ビザの審査において非常に重要です。住民税の課税証明書と納税証明書が求められます。課税証明書は前年1年間の所得額が記載され、その年の1月1日までに住んでいた市区町村の役所から発行されます。
納税証明書は、納付すべき住民税の金額や納付済み額、未納額などが記載されており、これもその年の1月1日までに住んでいた市区町村の役所で取得できます。発行日から3ヶ月以内の原本を提出しましょう。
転職や引っ越しをして間もない場合などで、現在の市区町村役場で必要な証明書が発行されない場合は、以前住んでいた市区町村役場から取得する必要があります。
また、収入を補足するために、通帳の写しや在職証明書、給与明細書のコピー、源泉徴収票なども提出すると良いでしょう。扶養者が無職の場合や収入が低い場合は、預金残高証明書や親族からの経済的援助を証明する書類なども有効です。
結婚の信憑性を裏付ける補足資料は、偽装結婚ではないことを示すために非常に重要です。
出入国在留管理局は偽装結婚を警戒するため、提出された書類から婚姻の実態を慎重に確認します。夫婦で写っており、容姿がはっきりと確認できるスナップ写真複数枚は、夫婦の関係性を視覚的に示す有効な資料となります。出会いから結婚に至るまでの経緯や、結婚後の夫婦の共同生活の状況を詳細に記述した理由書も、審査官に事情を理解してもらう上で役立ちます。
LINEの履歴や通話記録、メールのやり取りなど、継続的な交流が確認できる資料も有効です。自宅の賃貸契約書や不動産登記事項証明書、自宅の間取り図や写真なども、同居の事実を裏付ける補足資料として提出すると良いでしょう。
これらの補足資料は、個々の状況に合わせて選択し、提出することで、結婚の真実性をより説得力を持って示すことができます。
配偶者ビザの更新申請は、現在の在留期間が満了する外国人配偶者が日本に引き続き滞在するために必要な手続きです。
在留期間の満了日の3ヶ月前から申請が可能となり、期内に手続きを行わないと不法残留と見なされる可能性があるため、早めの準備が重要です。更新申請の際には、前回の申請時からの生活状況の変化に応じて提出書類や審査の難易度が異なるため、自身の状況を正確に把握し、適切な書類を準備することが求められます。
また、更新後の在留期間は、審査の結果によって6ヶ月、1年、3年、5年のいずれかが付与されます。
配偶者ビザの更新申請は、現在の在留期間が満了する日の3ヶ月前から行うことができます。
手続きは、外国人配偶者の居住地を管轄する出入国在留管理局にて行います。
申請後、審査期間は約2週間から1ヶ月程度が目安とされていますが、個々の状況によってはさらに時間がかかる場合もあります。
審査期間中に、追加書類の提出を求められる場合もあるため、迅速な対応が求められます。
審査が通過すると、新しい在留期間が決定され、在留カードが交付されます。
通常、最初のビザは1年間となるケースが多く、その後、結婚生活を継続し、更新手続きを経て3年間のビザ取得を目指す流れとなります。
病気や長期出張など特別な事情がある場合は、3ヶ月前よりも早く申請を受け付けてもらえることもあるため、該当する方は事前に相談してみましょう。
在留期間更新許可申請には、いくつかの重要な書類が必要です。
まず「在留期間更新許可申請書」1通と、縦4cm×横3cmの証明写真1葉(申請書に貼付)が求められます。
申請人(外国人配偶者)のパスポートと在留カードの提示も必須です。
日本人配偶者に関しては、戸籍謄本(全部事項証明書)1通が必要であり、これも発行から3ヶ月以内のものを用意しましょう。
住民税の課税(又は非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)も各1通必要です。
これらの証明書は、発行日から3ヶ月以内のものを提出しなければなりません。
また、日本人配偶者が身元保証人となるための身元保証書1通も提出します。
その他、夫婦の結婚生活の継続性や安定性を証明するための質問書や、状況に応じて交際を証明するスナップ写真、SNSの履歴などが補足資料として必要になる場合があります。
配偶者ビザの審査を通過するためには、提出書類の準備だけでなく、入国管理局が重視するいくつかのポイントを理解しておくことが重要です。
審査は「婚姻の信憑性」、「生活基盤の安定性」、「過去の申請書類との整合性」の3つの観点から行われます。
これらのポイントをしっかりと抑え、適切な情報を提供することで、申請がスムーズに進む可能性が高まります。
入国管理局は偽装結婚に対して厳しく審査するため、結婚の実態を明確に証明することが不可欠です。
夫婦の出会いから結婚に至るまでの経緯、現在の同居状況、夫婦間の交流の頻度や内容などを詳細に記載した質問書や理由書は、婚姻の信憑性を示す重要な資料となります。特に、夫婦の年齢差が大きい場合や、交際期間が短い場合は、経済的な目的やビザ取得を目的とした結婚ではないかと疑われる可能性が高くなるため、より説得力のある説明と証拠が必要です。夫婦で写っているスナップ写真や、LINE、メールなどの通信記録も、結婚生活の具体的な実態を裏付ける証拠となります。
また、住民票が同じ住所であっても、実際に同居していない場合は虚偽申請と見なされる可能性があるので注意が必要です。
安定した夫婦生活を送るための経済的な基盤があることは、配偶者ビザの審査において非常に重視されるポイントです。
夫婦の世帯収入や納税状況を証明する書類(課税証明書、納税証明書、預金残高証明書など)は、生活の安定性を示すために不可欠です。一般的に、年収250万円程度が許可の目安とされることがありますが、これはあくまで目安であり、個々のケースによって判断は異なります。
例えば、家賃がかからない実家での同居や、親族からの経済的援助が見込まれる場合は、収入が平均を下回っていても生活が安定していると判断されることがあります。
夫婦のどちらか一方が無職であっても、世帯全体の収入で判断されるため、もう一方に十分な収入があれば問題ありません。しかし、夫婦ともに無職の場合は、日本での生活費をどのように賄うかを具体的に説明し、就職予定や十分な貯蓄、親族からの援助などを証明する必要があります。
納税や社会保険料などの公的義務を適切に履行していることも、配偶者ビザの審査において重要なポイントです。住民税の課税証明書や納税証明書によって、過去1年間の所得と納税状況が確認されます。未納や遅延の履歴があると、更新不許可の一因となる可能性があるため、特に注意が必要です。
転勤や転職などで課税証明書が発行されない場合は、以前の居住地の役所から取得するなど、適切な対応をしましょう。また、在留カードに関する届出義務や配偶者に関する届出を遅滞なく提出していることも求められます。住所変更などの届出を怠ると、入管法上の義務を履行していないと判断される可能性があるため、変更があった場合は14日以内に届け出るようにしましょう。
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日本人配偶者ビザ取得の申請および更新手続きは、国際結婚した夫婦が日本で安定した生活を送るために不可欠なプロセスです。このビザの取得・更新には、婚姻の真実性、安定した経済基盤、そして公的義務の履行が厳しく審査されます。
新規申請では、海外にいる配偶者を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請と、日本にいる配偶者の在留資格を変更する変更許可申請の2つのパターンがあり、それぞれ必要書類が異なります。特に、戸籍謄本や住民票、収入・納税を証明する書類、そして結婚の信憑性を裏付ける質問書や写真、SNSの履歴などが重要です。
更新申請においても、在留期間が満了する3ヶ月前からの手続きが推奨され、同様に婚姻関係の継続性や経済状況、納税状況などが問われます。転職したばかりで課税証明書が発行されないケースや、夫婦どちらか一方が無職である場合でも、追加書類や詳細な説明によって許可を得られる可能性があります。また、別居中の更新申請は原則として同居が求められるため、合理的な理由とそれを証明する資料の提出が不可欠です。
これらの手続きを円滑に進めるためには、審査官が求める要件を正確に理解し、自身の状況に応じた適切な書類を準備し、必要に応じて専門家のサポートを得ることが成功の鍵となります。
A. 詳細はこちらの記事をご参照ください。
A. 一定の条件を満たせば、オンラインでの申請も可能です。オンライン申請は、在留期間の満了日から3か月前から行うことができ、時間を気にせず申請できるため非常に便利です。ただし、システムメンテナンスなどにより利用できない期間もありますので、事前に出入国在留管理庁のウェブサイトで確認することをおすすめします。オンライン申請の詳細については、出入国在留管理庁のウェブサイトをご確認ください。
A. 定住者ビザは、法務大臣が特別な理由を考慮して日本への在留を許可する在留資格です。具体的には、日系人やその配偶者、日本人または永住者と離婚・死別した外国人などが対象となる場合があります。一方、日本人配偶者ビザは、日本人と法律上有効な婚姻関係にある外国人が取得する在留資格です。定住者ビザは就労制限がないという点では共通していますが、取得条件が大きく異なります。日本人配偶者ビザは婚姻関係が必須条件であるのに対し、定住者ビザは血縁や特別な状況が重視される点が主な違いです。
A. 海外に在住している外国人配偶者の場合、ご自身が直接申請することはできません。代わりに、日本に在住している日本人配偶者が、外国人配偶者の代理人として「在留資格認定証明書交付申請」を日本の出入国在留管理庁に行う必要があります。この認定証明書が交付された後、海外の外国人配偶者は、本国の日本大使館または領事館でビザ(査証)の発給申請を行います。この流れは、配偶者が日本に入国するための準備段階であり、最終的に日本へ入国後、空港で在留カードが交付されます。