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[身分系ビザ]

外国人が個人事業主になるには?必要な在留資格・就労ビザの条件と手続き

  • 投稿:2025年11月21日
外国人が個人事業主になるには?必要な在留資格・就労ビザの条件と手続き

目次

外国人が日本で個人事業主として独立するには、保有する在留資格が重要な鍵となります。本記事では、外国人が個人事業主になるための条件や在留資格別のパターン、具体的な手続き、そして活動する上での注意点までを網羅的に解説します。

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外国籍でも日本で個人事業主として活動できるのか?

結論から言うと、外国籍の方でも日本で個人事業主として活動することは可能です。ただし、そのためには保有している在留資格の種類が大きく関係します。活動に制限のない「永住者」や「日本人の配偶者等」といった身分系の在留資格を持つ場合は、日本人と同様に自由に事業を始めることが可能です。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで滞在している場合は、一定の条件を満たし、必要な手続きを踏む必要があります。

外国人が個人事業主として働くために満たすべき4つの条件

「技術・人文知識・国際業務」ビザなど、活動内容に制限のある就労ビザを持つ外国人が個人事業主になる場合、主に4つの条件を満たす必要があります。これらの条件は、事業が安定的かつ継続的に行われ、日本の法律を遵守していることを出入国在留管理庁に示すために設けられています。各項目を確実にクリアすることが求められます。

事業の安定性を示す一定以上の収入が見込めること

個人事業主として独立し、生計を立てていくためには、安定的かつ継続的な収入の見込みを示すことが重要です。具体的な収入額の目安については、様々な情報があり、一概にいくらとは明示されていません。ただし、国税庁のデータによると、個人事業主の平均年収は419.9万円であり、年収300万円〜500万円の層が最も多いとされています。また、500万円から1,000万円の層が最も多いという調査結果もあります。月額に換算すると、これらの平均年収は25万円から80万円程度に相当します。

この収入見込みを客観的に示すためには、取引先との契約書に記載された報酬額や、具体的な収支計画を盛り込んだ事業計画書が重要な資料となります。単発の仕事だけでなく、継続して収入を得られることを説明する必要があります。

個人事業主が収入を証明する書類としては、確定申告書の控え、納税証明書、課税証明書、所得証明書などが挙げられます。

継続的な取引先との業務委託契約が結ばれていること

事業の安定性を証明する上で、特定の取引先と継続的な業務委託契約を締結していることが重要視されます。単発の仕事の繰り返しだけでは事業の継続性が低いと判断される可能性があるため、少なくとも1社以上の企業と長期的な契約を結んでいる状態が望ましいです。

契約書には、業務内容、契約期間、報酬額、支払い条件などが明確に記載されている必要があります。複数の企業と契約していれば、1社の契約が終了しても収入が途絶えないことを示せるため、事業の安定性をより強くアピールできます。

従事する業務に関連した実務経験や実績を証明できること

個人事業主として行う業務は、これまでの学歴や職務経歴との関連性が求められます。例えば、大学で情報工学を専攻し、IT企業でシステムエンジニアとして勤務した経験のある人が、ITコンサルタントやフリーランスのプログラマーとして独立するケースなどが該当します。

この関連性を証明するためには、卒業証明書や成績証明書、前職の在職証明書、具体的な実績を示すポートフォリオなどを準備しておくことが有効です。全く関連性のない分野で事業を始めることは、在留資格の観点から難しい場合があります。

在留資格で許可されている活動範囲内の業務であること

保有している在留資格で認められている活動の範囲内で事業を行わなければなりません。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つITエンジニアが、フリーランスとして複数の企業からシステム開発の案件を受注することは、資格の範囲内の活動と見なされます。

しかし、同じ在留資格で飲食店を経営したり、単純労働と見なされる業務に従事したりすることはできません。自身の在留資格でどのような活動が許可されているのかを正確に把握し、その範囲を逸脱しないように事業計画を立てる必要があります。

【在留資格別】外国人が個人事業主になるための3つのパターン

外国人が個人事業主になる方法は、現在保有している在留資格によって大きく3つのパターンに分けられます。会社員として就労ビザで滞在している場合、新たに事業経営を目的としたビザを取得する場合、そして活動に制限がない身分系のビザを持っている場合とでは、求められる要件や手続きが異なります。

自身の状況がどのパターンに当てはまるかを確認し、適切な準備を進めることが重要です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザで個人事業主になるケース

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持つ人が個人事業主になる場合、現在の在留資格の活動範囲内で事業を行う必要があります。多くの場合、フリーランスとして複数の企業と業務委託契約を結ぶ形態をとります。この場合、個々の契約が「所属機関との契約」と見なされ、契約先の変更や追加があるたびに入国管理局への届出が求められます。

また、事業の安定性や継続性、十分な収入があることを在留資格の更新時に証明しなくてはなりません。なお、日本で教育を受けた留学生が卒業後にこのビザで就職し、経験を積んだ後に独立するというキャリアパスも考えられます。

「経営・管理」ビザを取得して事業を始めるケース

本格的な事業経営を目指す場合は、「経営・管理」ビザの取得を検討します。このビザは、単なるフリーランス活動を超え、事業所の確保や従業員の雇用などを伴う事業の経営者向けの在留資格です。

取得のためには、日本国内に事業所を確保することに加え、資本金として500万円以上を準備するか、常勤職員を2名以上雇用するといった厳しい要件を満たす必要があります。手続きが複雑であるため、行政書士などの専門家に相談しながら進めるのが一般的です。法人設立だけでなく、個人事業主としてこれらの要件を満たすことでも取得は可能です。

活動に制限がない「永住者」や「定住者」などの身分系ビザを持つケース

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」といった身分に基づいた在留資格を持っている場合、就労活動に制限がありません。したがって、これらのビザを持つ外国人は、日本人と同様に、職業選択の自由が保障されています。特別な許可申請や在留資格の変更手続きを経ることなく、自由に個人事業主として開業できます。

事業内容にも制約はなく、飲食店の経営からITコンサルティングまで、あらゆる分野で活動が可能です。手続きとしては、税務署への開業届の提出など、日本人が行うものと同じ手順を踏むだけで事業を始められます。

外国人が個人事業主になるための具体的な手続きと流れ

外国人が個人事業主として開業するためには、いくつかの手続きを順に進める必要があります。まずは自身の在留資格の確認から始まり、必要に応じて入国管理局への申請を行います。

その後、税務署への開業に関する届出を行い、事業内容によっては行政機関からの許認可を取得するというのが一般的な流れです。これらの手続きを計画的に進めることで、スムーズに事業を開始できます。

ステップ1:現在の在留資格の確認と変更許可申請

最初に、自身の在留資格で個人事業主としての活動が許可されているかを確認します。活動に制限のある就労ビザの場合、フリーランスとして複数の企業と契約するには、契約先を入国管理局に届け出る必要があります。

また、現在の在留資格で認められている活動範囲を超える事業を行いたい場合は、事前に「在留資格変更許可申請」を行い、「経営・管理」ビザなど、事業内容に適した在留資格を取得しなければなりません。身分系の在留資格であれば、このステップは不要です。

ステップ2:管轄の税務署への開業届の提出

日本国内で個人事業を開始する方は、納税地を管轄する税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出することが推奨されています。この届出は、原則として事業を開始した日から1ヶ月以内に提出することが求められています。

なお、外国籍の方が日本で個人事業主として活動するには、「経営・管理」ビザなど、特定の在留資格が必要となる場合があります。 「永住者」や「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ場合は、就労制限がないため、日本人と同様に個人事業主として活動できます。

開業届を提出しなかったとしても、罰則は設けられていません。 しかし、青色申告による税制上の優遇措置や、補助金・助成金の申請、屋号での銀行口座開設といったメリットを受けられない可能性があります。

また、税制上の優遇措置が受けられる青色申告を選択したい場合は、開業届と併せて「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。この申請書は、原則として事業開始から2ヶ月以内、またはその年の3月15日までに提出する必要があります。

ステップ3:事業内容に応じた許認可の取得

行う事業によっては、国や地方公共団体から許認可を得る必要があります。例えば、飲食店を開業する場合は保健所の「飲食店営業許可」、中古品を売買する事業なら警察署の「古物商許可」、建設工事を請け負う場合は「建設業許可」などが該当します。

これらの許認可は、事業を開始する前に取得しておかなければならず、無許可で営業した場合は法律により罰せられる可能性があります。自身の事業に許認可が必要かどうかを事前に調査し、管轄の行政機関で手続きを進めることが重要です。

外国人が個人事業主として活動する上での4つの注意点

個人事業主として独立した後も、安定して事業を継続し、日本での在留を維持するためにはいくつかの注意点があります。特に、税金や社会保険の手続き、在留資格に関する届出義務は、外国人にとって重要です。

また、取引先とのトラブルを未然に防ぐための対策も不可欠です。従業員を雇用する場合は、さらに労働法規の遵守も求められるため、注意が必要です。

年に一度、必ず確定申告を行う必要がある

個人事業主は、1月1日から12月31日までの1年間の事業で得た所得を計算し、それに対する所得税額を国に申告・納税する「確定申告」を行う義務があります。確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。

この手続きを怠ると、本来納めるべき税金に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されることがあります。日頃から売上や経費に関する帳簿をつけ、領収書などの証拠書類を整理・保管しておくことが、スムーズな確定申告につながります。

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国民健康保険と国民年金への加入が義務付けられている

会社を退職して個人事業主になると、それまで加入していた会社の健康保険や厚生年金から脱退します。そのため、自身で市区町村の役所にて「国民健康保険」と「国民年金」への加入手続きを行わなければなりません。これは日本に居住する20歳以上60歳未満の人すべてに課された義務です。

保険料を納めないと、病気やけがをした際の医療費が全額自己負担になるほか、将来受け取れる年金額が減額される可能性があります。また、公的義務の不履行と見なされ、在留資格の更新申請時に不利に働くこともあるため、必ず手続きを行いましょう。

契約先の変更や追加は14日以内に入管への届出が必須

「技術・人文知識・国際業務」ビザなどの就労資格を持ち、特定の企業と契約して活動する個人事業主は、その契約機関に変更が生じた場合、14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があります。この届出は、既存の契約が終了したとき、新たな企業と契約を結んだとき、契約企業の名称や所在地が変わったときなどに必要です。

オンラインでの届出も可能ですが、この義務を怠ると、在留資格の更新が許可されない、罰金の対象となる、あるいは在留資格が取り消されるといった重大な結果を招く恐れがあります。

トラブル回避のために取引先と業務委託契約書を交わす

個人で仕事を受注する際は、業務内容や報酬、納期などを巡るトラブルを避けるため、必ず書面で業務委託契約書を取り交わしましょう。特に、日本の商習慣に不慣れなうちは、口約束だけで仕事を進めると後々「言った、言わない」の問題に発展しかねません。

契約書には、具体的な業務の範囲、報酬額と支払時期、成果物の権利の帰属、秘密保持義務などを明確に記載することが重要です。内容を十分に理解し、双方が納得した上で署名・捺印することで、安心して業務に取り組むことができ、自身の権利を守ることにもつながります。

外国人起業家が活用できる公的な支援制度

日本で事業を始めたいと考える外国人起業家を後押しするため、国や地方自治体は様々な支援制度を用意しています。これらの制度を活用することで、在留資格の取得や事業資金の調達といった起業に伴うハードルを下げることが可能です。

これから紹介する支援制度の情報を参考に、自身の事業計画に役立てることを検討してみてください。

起業準備期間の在留を認める「スタートアップビザ」制度

「スタートアップビザ」制度は、正式には「外国人起業活動促進事業」と呼ばれ、外国人起業家が日本で事業を始める際の負担を軽減するための制度です。通常、「経営・管理」ビザを取得するには、事務所の開設や資本金の準備などが必要ですが、この制度を利用すると、それらの要件が整っていなくても、事業計画書などを地方自治体に提出し認定を受けることで、最長1年間の起業準備のための在留資格(特定活動)が得られます。

この準備期間中に、ビザ取得に必要な条件を整えることが可能です。

事業資金の調達に役立つ日本政策金融公庫などの融資

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者の支援を目的としており、外国人起業家も融資の対象となります。特に「新規開業資金」などの制度は、これから事業を始める人にとって利用しやすく、民間の銀行に比べて有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

融資を受けるためには、実現可能性の高い詳細な事業計画書の提出が不可欠です。事業計画の策定にあたっては、商工会議所や専門家のアドバイスを受けながら進めることで、採択の可能性を高めることができます。

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専門家へ無料相談ができる「外国人在留支援センター(FRESC)」

外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)は、日本での活躍を希望する外国人をサポートするために国が設置したワンストップの相談窓口です。センター内には出入国在留管理庁や法務省、厚生労働省など関連する8つの公的機関の窓口が集まっており、在留資格の手続きから起業、労働問題、法的なトラブルまで、幅広い分野の相談に対応しています。

各分野の専門家から無料でアドバイスを受けられるため、個人事業主として活動する中で生じる様々な疑問や悩みを解決するのに役立ちます。

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まとめ

外国人が日本で個人事業主になることは、適切な手続きと準備を行えば十分に可能です。最も重要なのは、自身の在留資格でどのような活動が許可されているかを確認することです。活動に制限のない身分系ビザであれば日本人と同様の手続きで開業できますが、就労ビザの場合は事業の継続性や専門性、安定した収入などを証明する必要があります。

開業後も、確定申告や社会保険への加入、契約先変更時の入管への届出といった義務を果たさなければなりません。計画的や準備と継続のための手続きの確認を行うことが求められます。

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