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家族滞在ビザで日本に在留している方が、引き続き日本での生活を希望する場合、在留期間の更新手続きが必要です。この手続きをスムーズに進めるためには、在留期間更新許可申請書の正確な書き方や、必要書類の準備、申請のタイミングを正しく理解しておくことが不可欠です。
本記事では、家族滞在ビザの更新申請に関する基本情報から、申請書の具体的な記入方法、手続きの流れ、そして不許可にならないための注意点までを網羅的に解説します。
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家族滞在ビザの更新申請で知っておきたい基本情報
家族滞在ビザの更新手続きを進めるにあたり、基本的なルールを把握しておくことが重要です。
特に、許可される在留期間や申請可能なタイミング、扶養者との関係性は、更新の可否を左右する根本的な要素となります。これらの基本情報を正しく理解し、ご自身の状況と照らし合わせながら計画的に準備を進めることが、スムーズな更新への第一歩です。
扶養者の在留資格の状況も密接に関わるため、併せて確認が必要になります。
家族滞在ビザで許可される在留期間
家族滞在ビザで許可される在留期間は、個々の状況に応じて異なり、「5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月、3月」のいずれかが決定されます。この期間は、扶養者の在留期間を超えない範囲で定められるのが原則です。例えば、扶養者の在留期間が残り1年の場合、家族の在留期間が3年で許可されることはありません。
そのため、家族滞在ビザの更新申請は、扶養者の在留期間更新と同時に行うのが一般的です。初回申請時よりも長い在留期間が許可されることもありますが、最終的な判断は出入国在留管理庁の審査によって下されます。
更新申請は在留期限の3ヶ月前から可能
在留期間の更新申請は、現在保有している在留カードに記載された在留期間の満了日から、原則として3ヶ月前から手続きを開始できます。出入国在留管理庁は審査に一定の時間を要するため、期限ギリギリではなく、できるだけ早く申請することが推奨されます。
特に、書類に不備があった場合の修正や、追加書類の提出を求められる可能性も考慮し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。もし何らかの事情で申請が遅れてしまった場合でも、在留期限が過ぎる前に必ず申請を完了させる必要があります。
扶養者の在留資格が更新できないと家族滞在ビザも失効する
家族滞在ビザは、扶養者が日本で有効な在留資格を持っていることが大前提となるため、扶養者の在留資格が更新できなかった場合、扶養されている家族のビザも更新されず、結果として失効します。このビザは、あくまで扶養者の活動を支えるために認められているものであるため、その基盤が失われれば、家族も日本に在留し続けることはできません。
したがって、更新手続きは扶養者の申請と併せて慎重に進める必要があります。扶養者の勤務状況や納税状況に問題がないかなど、自身の申請だけでなく、扶養者側の状況も十分に確認しておくことが不可欠です。
家族滞在ビザを更新するための4つの必須条件
家族滞在ビザの更新を成功させるためには、出入国在留管理庁が定める複数の要件を満たしている必要があります。これらの条件は、申請者が日本で安定した生活を継続できるか、また在留資格の目的に沿った活動を行っているかを判断するための重要な基準です。ここでは、特に重要視される複数の条件について具体的に解説します。ご自身の状況がこれらの条件を満たしているか、申請前に一つひとつ確認することが、許可を得るための鍵となります。
扶養者との身分関係を公的書類で証明できること
家族滞在ビザは、日本で就労する外国人の配偶者または子を対象としているため、扶養者との法的な身分関係を客観的に証明することが必須です。配偶者であれば結婚証明書、子であれば出生証明書など、本国の公的機関が発行した書類の提出が求められます。
これらの書類は、単に家族であると主張するだけでなく、その関係が法的に有効であることを示すためのものです。書類に記載された氏名や生年月日がパスポートと一致しているかなど、正確性も重要視されます。書類が外国語で作成されている場合は、日本語の翻訳文を添付する必要がある点にも注意が必要です。
扶養を受けて生活している実態があること
申請者は、扶養者から経済的な支援を受けて生活している実態がなければなりません。これは、家族滞在ビザの本来の趣旨が、自立して就労することではなく、扶養者の庇護のもとで生活することにあるためです。
審査では、同居しているか、生活費が扶養者から定期的に支払われているかといった点が確認されます。原則として同居が求められますが、子どもの進学などでやむを得ず別居している場合は、その合理的な理由を説明し、送金の事実などを証明する資料を提出する必要があります。扶養の実態が認められない場合、更新は困難になります。
扶養者に安定した収入と扶養の意思があること
扶養者には、自身と被扶養者である家族の生活を安定的に支えるだけの経済的な能力があることが求められます。審査では、扶養者の職業、勤務先の安定性、そして収入額が重要な判断材料となります。これを証明するために、在職証明書や住民税の課税・納税証明書などの提出が必要です。
納税証明書によって、収入額だけでなく、公的義務である納税をきちんと果たしているかも確認されます。転職直後で収入が不安定な場合や、税金の未納がある場合は、扶養能力に疑義が生じ、更新が不許可となるリスクが高まります。
資格外活動許可のルール(週28時間以内)を遵守していること
家族滞在ビザを持つ人がアルバイトなどを行う場合、事前に入国管理局から「資格外活動許可」を取得する必要があります。この許可を得た上で、労働時間は原則として週28時間以内に収めなければなりません。この時間制限を超えて働いてしまうと、主な活動が就労であるとみなされ、「扶養を受けて生活している」という家族滞在ビザの本来の趣旨から逸脱すると判断されます。
更新申請時には、このルールを遵守しているかが厳しくチェックされるため、労働時間の管理は徹底する必要があります。違反が発覚した場合、更新が不許可となる可能性が非常に高くなります。
【記入例に沿って解説】家族滞在ビザ更新申請書の書き方
家族滞在ビザの更新手続きにおいて、中核となるのが「在留期間更新許可申請書」の作成です。この申請書は、出入国在留管理庁が申請者の状況を把握するための最も重要な書類であり、正確かつ丁寧に記入する必要があります。ここでは、実際の申請書の記入例に沿って、各項目で求められる情報や書き方のポイントを解説します。
特に、申請者本人が記入する部分と扶養者が記入する部分があるため、それぞれの役割を理解して作成を進めることが大切です。
1枚目(申請人等作成用1):申請者本人の情報を記入する
申請書の1枚目は、更新を希望する申請者本人の基本情報を記入する欄です。国籍・地域、氏名、生年月日、性別、配偶者の有無といった個人情報を、パスポートや在留カードの記載通りに正確に転記します。特に在留カード番号は間違いのないように注意深く確認してください。
また、証明写真(縦4cm×横3cm)を貼付する欄がありますが、この写真は申請前3ヶ月以内に撮影された、無帽・無背景の鮮明なものが必要です。連絡先として、日中に連絡が取れる電話番号や携帯電話番号を記載しておくことも重要です。すべての項目を漏れなく、かつ正確に埋めることが求められます。
2枚目(申請人等作成用2):滞在費の支弁方法などを記入する
2枚目では、在留期間の更新を希望する理由や、日本での滞在費用を誰がどのように負担するのかを具体的に記入します。希望する在留期間を記載し、「更新の理由」欄には「引き続き扶養者である夫(または妻、父、母など)の扶養を受けて日本で生活するため」といった趣旨を簡潔に記述します。
最も重要な「滞在費支弁方法」の項目では、扶養者にチェックを入れ、月々の負担額や送金・携帯の方法を具体的に記載します。資格外活動許可を得てアルバイトをしている場合は、その旨も正直に申告する必要があります。ここでの情報が、扶養の実態を証明する上で重要な根拠となります。
3枚目(扶養者等作成用1):扶養者の情報を記入する
申請書の3枚目は、申請者を扶養する人が記入する専用のページです。扶養者の氏名、生年月日、国籍、在留資格、在留期間といった基本情報に加え、勤務先の名称、所在地、電話番号、そして年収を正確に記入します。
この内容は、扶養者の在職証明書や課税証明書といった提出書類の内容と一致している必要があります。最後に、扶養者本人が申請者との関係を記載し、日付を記入の上、自筆で署名します。この署名によって、記載内容に責任を持つこと、そして申請者を扶養する意思があることを示すことになります。代筆は認められません。
お子さまの分を申請する場合の注意点
お子さまの家族滞在ビザを更新する場合、申請書の作成にはいくつかの注意点があります。まず、申請者である子どもが16歳未満の場合、本人が署名する代わりに、親などの法定代理人が署名を行う必要があります。申請書の署名欄に、子どもの氏名と併せて「法定代理人として父(または母)が署名」といった形で追記し、親がサインします。
また、申請書は子ども一人につき一部ずつ必要です。例えば、母親と子ども二人のビザを同時に更新する場合は、合計で3部の申請書を作成しなければなりません。必要書類もそれぞれの子どもについて用意する必要があるため、準備に漏れがないよう注意が求められます。
家族滞在ビザの更新申請に必要な書類一覧
家族滞在ビザの更新を申請する際には、申請書以外にも様々な証明書類を提出する必要があります。これらの書類は、申請者本人と扶養者の身分関係や、扶養者の経済的な安定性を証明するために不可欠です。
必要な書類は、申請者本人が準備するものと、扶養者が勤務先などから取り寄せるものに大別されます。出入国在留管理庁のウェブサイトでは、申請書の様式もダウンロードできるため、事前に確認し、漏れなく準備を進めましょう。
申請者(本人)が準備する書類
まず、申請者本人が必ず用意するものは、在留期間更新許可申請書、証明写真(縦4cm×横3cm)、現在所持しているパスポートと在留カードです。パスポートと在留カードは、窓口で原本を提示する必要があります。これらに加え、扶養者との身分関係を証明する公的な書類が必須となります。配偶者の場合は婚姻証明書、子の場合は出生証明書の原本または写しを提出します。
これらの証明書が外国語で作成されている場合は、日本語の翻訳文を添付しなければなりません。翻訳は誰が行っても構いませんが、翻訳者の氏名と連絡先を記載することが求められます。
扶養者が準備する書類
扶養者は、自身の身元と扶養能力を証明するための書類を準備します。具体的には、パスポートと在留カードの写し、職業を証明する資料(会社員なら在職証明書、個人事業主なら確定申告書の控えなど)、そして直近1年分の住民税の課税証明書および納税証明書です。
特に、課税証明書と納税証明書は、安定した収入があることと、公的な義務を果たしていることを示す重要な書類であり、必ず提出が求められます。これらの証明書は、市区町村の役所で発行されます。扶養者の状況を正確に証明するため、最新のものを取得するようにしてください。
家族滞在ビザ更新手続きの申請から許可までの流れ
家族滞在ビザの更新手続きは、書類を準備して提出すれば終わりではありません。申請後には審査期間があり、許可された後には新しい在留カードを受け取るための手続きが必要です。ここでは、申請書類を管轄の地方出入国在留管理局に提出してから、最終的に新しい在留カードを手にするまでの一連の流れを、3つの具体的なステップに分けて解説します。
各ステップで何を行うべきかを事前に把握しておくことで、落ち着いて手続きを進めることができます。
ステップ1:必要書類を揃えて管轄の地方出入国在留管理局へ提出
更新手続きの最初のステップは、これまで解説したすべての必要書類を揃え、申請者の住居地を管轄する地方出入国在留管理局、支局、または出張所に提出することです。窓口に書類を提出し、不備がないか簡単なチェックを受けます。申請が受理されると、持参した在留カードの裏面に「在留期間更新許可申請中」というスタンプが押されます。
このスタンプがあれば、万が一、審査中に在留期限が切れてしまっても、在留期限から最大2ヶ月間は適法に日本に滞在し続けることが可能です。この期間を「特例期間」と呼びます。
ステップ2:審査結果が記載された通知ハガキを受け取る
申請書類を提出した後、出入国在留管理庁による審査が行われます。審査にかかる標準的な期間は、通常2週間から1ヶ月程度ですが、申請が集中する時期や、個別の事案によってはさらに時間がかかることもあります。
審査が完了すると、申請書に記載した住所宛に、結果を知らせる通知ハガキ(在留期間更新許可通知)が郵送されます。ハガキには、許可または不許可の審査結果が記載されています。許可された場合は、新しい在留カードを受け取るために必要な持ち物や手数料(収入印紙)に関する案内も記されています。
ステップ3:手数料を納付して新しい在留カードを受領する
審査結果が「許可」であった場合、通知ハガキに記載された期間内に、再度、申請した出入国在留管理局へ足を運ぶ必要があります。持参するものは、通知ハガキ、申請時に使用したパスポート、現在所持している在留カード、そして手数料納付書です。手数料として4,000円分の収入印紙を購入し、手数料納付書に貼り付けて提出します。
これらの手続きが完了すると、その場で新しい在留カードが交付され、すべての更新手続きが完了となります。在留カードを受け取ったら、記載内容に誤りがないかをその場で確認してください。
家族滞在ビザの更新が不許可にならないための注意点
家族滞在ビザの更新申請は、必ずしもすべてが許可されるわけではありません。申請内容や提出書類に問題があると判断された場合、不許可となる可能性もあります。不許可という結果を避けるためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。
ここでは、更新申請をスムーズに進め、許可の可能性を高めるために特に気をつけるべき3つのポイントについて解説します。事前の入念な準備と確認が、安定した在留資格の維持につながります。
在留期間の満了日までに必ず申請を済ませる
在留期間の満了日までに更新申請を行うことが重要です。万が一、在留期間満了日までに更新申請が間に合わなかった場合でも、「在留期間の特例」という制度により、申請中であれば在留期間満了日から最長2ヶ月間は不法滞在にはならず、適法に日本に在留できます。
ただし、在留期間が過ぎてから更新申請をする場合、原則として申請は受け付けられません。 しかし、災害、事故、病気など、申請人の責任ではないやむを得ない事情が認められ、悪質性がなく過失が軽微な場合で、かつ在留期限超過後速やかに出入国在留管理庁に申し出ていれば、「特別受理」として申請が受け付けられることがあります。 この場合、在留期限から2ヶ月以内であることが目安とされています。
不法滞在となった場合、日本から退去強制される可能性があり、将来の再入国が著しく困難になることがあります。
申請は在留期限の3ヶ月前から可能ですので、できる限り早く準備を始め、余裕をもって申請手続きを行うことが不可欠です。 万が一、病気などのやむを得ない事情で期限を過ぎてしまった場合は、速やかに出入国在留管理庁に相談する必要があります。
扶養者の納税状況や収入額は正直に申告する
扶養者の経済的な安定性は、審査における非常に重要なポイントです。特に、住民税などの公的な納税義務を果たしているかは厳しくチェックされます。もし税金の未納がある場合、日本での居住者としての義務を果たしていないと見なされ、不許可の大きな原因となります。
また、収入が家族を養うのに不十分だと判断された場合も、審査は厳しくなります。収入額をごまかしたり、納税状況について虚偽の申告をしたりすることは絶対にしてはいけません。もし納税に問題がある場合は、申請前に必ず完納しておくなど、誠実な対応が求められます。
書類に不備がないか提出前に何度も確認する
申請書の記入漏れや誤字脱字、必要書類の不足といったケアレスミスは、審査の遅延を招くだけでなく、場合によっては不許可の原因にもなり得ます。特に、証明書の有効期限が切れていたり、写真のサイズが規定と異なっていたりといった単純な不備は、準備段階で防げるはずのミスです。
すべての書類が揃ったら、提出する前にもう一度、出入国在留管理庁のウェブサイトなどで最新の要件を確認し、チェックリストを作成して一つひとつ指差し確認するくらいの慎重さが求められます。完璧な状態で書類を提出することが、スムーズな審査への近道です。
まとめ
家族滞在ビザの更新申請を成功させるためには、扶養者との法的な身分関係、扶養を受けて生活している実態、そして扶養者の安定した経済基盤という3つの要素を、公的な書類をもって明確に証明することが不可欠です。在留期間更新許可申請書は、これらの情報を伝えるための中心的な書類であり、各項目を正確に、そして正直に記入する必要があります。
申請は在留期限の3ヶ月前から可能であるため、納税証明書や在職証明書といった書類の準備には時間がかかることも考慮し、早めに手続きを開始することが肝心です。提出前の入念な書類チェックが、不許可のリスクを減らし、スムーズな更新へと繋がります。
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よくある質問
A. ビザ更新のための申請書類は、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトからダウンロードできます。必要な書類の種類は、申請する在留資格によって異なりますので、ご自身の状況に合わせて適切な様式を選んでください。ダウンロードした書類は、印刷して使用することが可能です。また、各地方出入国在留管理局の窓口でも書類の配布を行っていますので、ウェブサイトでのダウンロードが難しい場合は、直接窓口で入手することもできます。